訪問日:2018年4月17日
おおよそ2ヶ月前の話。
東京ステーションギャラリーでの隈研吾展をあとにして、
三菱一号館美術館で開催中のルドン展へ。
ルドンの絵は過去2回のオルセー展(1回目/2回目)などで、
何度か目にする機会がありましたが、単独での大々的な展覧会は今回がはじめて。
時代的には印象派の時代に生きた画家であり、第8回の印象派展にも出品しているものの、
印象派とは一線を画し、独自の路線を歩んだ。
風景画の巨匠に教えを受けるも、
彼が描く絵は風景と人間の内面とが混ざりあった独特の世界だった。
周囲に流されず、自分のアイデンティティを築き上げたという点で
どこか自分の心を刺激する画家の一人。
[ギュスターヴ=アドルフ・モッサ「彼女」(1905年)]
大塚国際美術館での展示作品。
会場内は撮影可能ということで、気の向くままにお気に入りの作品を撮影しました。
本記事では象徴主義、ナビ派、ウィーン分離派、フォービスム、表現主義、エコール・ド・パリ、
キュビスム、ダダイスム、シュルレアリスムをピックアップ。
絵画の様式は、秩序と無秩序、安定と不安定、静的と動的を繰り返すものだけど、
決して同じことの繰り返しではなく、時代背景や情勢によって、
常に新しい要素を内包させてゆく。
それは樹木が根本から無数に枝分かれしてゆくかが如く。
枝別れたものが行き着く先はどんなものなのか。
それはすべてが混ざり合うカオスなのだろうか。
すでに現代アートというジャンルが一つの様式として括れないところに来ているのか。
はたまた、単に今を生きる自分たちには現代アートを客観的に眺めることができず、
数世紀、数十世紀先の人たちが今のアートやエンタメを眺めて様式化するのだろうか。
...あくまで素人の自分なりの独自の解釈です。
知識不足、勘違い、根拠に欠ける部分も多々あることをご了承ください。
照明がやや暗めで暖色系のため、作品画像はピンぼけ気味でやや赤っぽくなっています。
また、陶板特有の光沢もあります。
さらに傾き補正やレンズ補正をかけているため、
必ずしも作品(本物)の内容や構成を忠実・正確に表すものではないことをあらかじめご了承ください。
「だいたいこんな感じのもの」という感じで見ていただけたらと思います。
[目を閉じて(1890年)](画像は大塚国際美術館の陶板画)
目を閉じて。
少し首を傾けてもの思いに耽る女性。
...その心は波一つ無い水辺の如く静か。
[『夢のなかで』より<Ⅰ.孵化><Ⅶ.猫かぶり>]
(出典不詳)
金曜日の中村先生の授業、「文学と美術」。
およそ4回ほどかけたモローが終わり、今度はルドン。
まずは初期の作品を見る。
印象派と同時代に生きながらまったく独自の路線を歩んだゴーイング・マイウェイ。
きっとB型なんだろう、この人。
印象派が光を求めたのに対し、
ルドンはその光をことごとく吸収した。
それはまさしく「黒い太陽」。
幼少時に母の愛を受けられなかったことが、彼の中の黒い太陽。
黒い気分。
それが「メランコリー」。
[出現(水彩バージョン)](出典:Wikimedia)
金曜日の「文学と芸術」の授業。
ただいまギュスターヴ・モロー。
中村先生の好きな画家ということもあって、2週に渡り作品紹介。
いや、来週もやりそうな感じ。
シャセリオー、ドラクロワらロマン主義の影響を受け、
自らは象徴主義の先駆者となり、
マティス、ルオーというフォービスムの画家を輩出した。
古典から近代絵画への移行期に位置した画家なのでしょうか。
モローは、神話を題材にした作品が圧倒的に多い。
その独特の美しさから、好きな画家の一人なのだけど、
一番好きなのは、やはり一連の「サロメ」シリーズかな。
聖書には「ヘロデヤの娘」としか記されない女性を独自の解釈で描き、
後のオスカー・ワイルドの戯曲やリヒャルト・シュトラウスのオペラの元となった。
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大学で「社会と芸術」という授業を選択していますが、
その講師である中村隆夫先生の著書。
授業ではゴヤにはじまり、
ダダイスムからシュルレアリスムへときたところで夏休み。
夏休み明けからはダリとロルカ、ピカソあたりからスタート予定。
けっこうな年齢にも関わらず革ジャンにジーパンがよく似合う。
長髪で白いアゴヒゲで見た感じいかにも芸術家肌。
機関銃のようにしゃべるけど話し方もユニークで聞いていて飽きない。
僕に美術をもっと身近にしてくれた人の一人です。
本書は授業ではあまり扱うことのない、象徴主義がテーマですが、
現実を疑問視し、厭世的になるあたりはダダイスム、シュルレアリスムへの
布石となる部分があるといえます。
授業での機関銃のような口調そのままのような文面で、
中にはけっこう理解に苦しむ部分もありますが、
概ね芸術は哲学であり、
「自分とはなにか」とか、「自分がすべきことはなにか」とかいうことを
普段から考えているような人には面白い本だと思います。