フェリックス・キャンデラ。
1910年スペイン生まれの構造家。
スペインで建築の基礎を学んだ後、ドイツ留学を目の前にしてスペイン内戦勃発。
フランコの敵対政権についたため、敗戦後メキシコへ亡命。
そしてこの亡命先で花開くわけです。
世界の現代建築の潮流を大雑把に分けると、
バウハウスに端を発するゲルマン系と、ガウディに端を発するラテン系に
大きく分けられると思うのです。
ちゃんとした根拠ではなく、あくまで僕の主観的な感じ方ですけど。
ゲルマン系はドイツの国民性に代表されるかのごとく、
スマートな直線で構成された白系統の建築で、
モダニズムの主流をいくもの。
中央ヨーロッパ、北欧、アメリカ、日本など「北方」がメイン。
一方ラテン系は、
ユニークな曲線でカラフルな建築で独創的。
スペイン、メキシコ、南米など「南方」がメイン。
北のスマートな建築も大好きだけど、
自分が本質的に好きなのは南の建築だと思う。
ガウディ、カラトラバ、ニーマイヤー、バラガン...
南の建築を代表する建築家はどれもどこかプリミティブなところがある気がするから。
しかし彼らは天才肌でもあるからなかなか真似しようとしても真似できないのだけど。
キャンデラも例に漏れず偉大な天才だったようです。
スペインで建築を学んでいた当時、すでに同じ国内で活躍していた
エドゥアルド・トロハに惹かれるも冷たくあしらわれ、
ドイツ留学が決まっていながらも内戦勃発でおじゃんになるという
不遇に遭いながらもそれを好機とするポジティブさ。
たぶんトロハに師事し、ドイツに留学していたら
その後の彼の名声はなかったのかもしれない。
彼自身新しい技術や素材を開発したわけではないけれど、
すでにあるものを活用して独創的でありながら汎用性のある建築を生み出した。
また当時発展途上だったメキシコでは設計だけの仕事はなく、
設計から施工までこなせなくてはならなかった状況が
彼をトータル的なオールラウンダーにした。
HPシェルにこだわり、
極限までその厚さを薄くしながらも強度を保ち、
全体の意匠としては曲線なのに基本要素は直線で構成できるので
独創的な形を生みながらも経済的である。
複雑な計算のみに頼らず、シンプルな数式から答えを見出そうとする一方で、
エンジニアにありがちな論理的思考最優先という考えではなく、
自身の「感覚」を大切にしようとするそのスタイル。
...まさにHPシェルの大家という称号がふさわしい。
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セシル・バルモンドの本をAmazonで検索したら、
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」で出てきた本。
Amazonってホント商売上手い。
しかし貧乏な僕はまずは図書館だけど。
図書館ってホント便利。
八王子キャンパスの図書館にありました。
セシル・バルモンドと同じく、Arup出身の構造エンジニア。
時代的にはライスが先輩にあたります。
セシル・バルモンドがコールハースやリベスキンドと組んだのに対し、
ピーター・ライスはレンゾ・ピアノやリチャード・ロジャースと組んで
多くの名建築、名構造を世に残しています。
・ポンピドゥー・センター(ピアノ&ロジャース)
・ロイズ(ロジャース)
・IBMパヴィリオン(ピアノ)
・メニル・コレクション美術館(ピアノ)
・ジェノヴァ港湾再開発の大桟橋(通称「ビゴ」、ピアノ)
・関西国際空港ターミナル(ピアノ)
とくにピアノとは「ピアノ&ライス・アソシエイツ」というユニットを一時期
組んでいたほど深い関係だったみたいです。
ピアノ&ロジャースのみならず多くの名建築家とも仕事しています。
・シドニー・オペラハウス(ヨーン・ウッツォン)
・CNITのファサード(ジャン・プルーヴェ)
・TGV/PERシャルル・ド・ゴール空港駅(ポール・アンドリュー)
・グランダルシュの「雲」(スプレッケルセン/ポール・アンドリュー)
・ルーヴルの逆ピラミッド(I.M.ペイ)
・ジャパン・ブリッジ(黒川紀章)
・ラ・ヴィレット(アドリアン・ファンシベール)
ヨーン・ウッツォンのシドニー・オペラハウスでデビューし、
ポンピドゥー・センターで一躍有名になった。
彼の携わってきた建築をざっと俯瞰するだけでも彼の残した偉大な功績が伺えます。
ピエール・ルイジ・ネルビ、オーヴ・アラップ、フェリックス・キャンデラなどと列せられる
偉大な構造家の一人なのでしょう。
そしてセシル・バルモンド、サンチャゴ・カラトラバなどの現代の大家ががこれに続く。
まだまだ未熟故にピーター・ライスの構造エンジニアとしての個性が理解できた、
というより建築家と構造エンジニアの関係が明確になった...
というのが正直な感想。
建築家だけでは大規模でユニークな建築は建たない。
構造エンジニアの存在意義をこの本は教えてくれる気がします。
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セシル・バルモンドの名著。
400ページにわたる分厚い本で字も小さいのですが、
オールカラーでスケッチや写真が多く、
意外にあっという間に読み終えました。
しかし内容はさっぱり理解できない。
なんかべつの次元の話を聞いているみたいで。
それでも彼の言葉は僕を惹きつける。
構造の魅力が、構造の秘密がそこにはある気がした。
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Arupの副会長であるセシル・バルモンドの著書。
a+uで彼を知り、wikipediaでこの本を知りました。
a+uで彼の文章を読んで、建築家独特の難しい言い回しにちょっと心配したけれど、
とても読みやすく、数学の苦手な僕でもあっという間に読み終えました。
この本を大学の図書館ではなく、世田谷区の図書館で見つけたのも納得。
この本には建築や構造については一切触れられていません。
そして難しい数学の専門書でもない。
あるのは「シグマ・コード」というシンプルな数字の哲学。
数学の構造を通じて伝わってくる構造の魅力。
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大学の研究室で借りた本。
a+uのセシル・バルモンド特集。
最近知った建築構造エンジニアなのですがArupの人なんですね。
Arupで30年間活躍し、現在はArupの副会長。
この間の、Arupの展示ではこの人の存在に気付かなかったなあ...
コールハースやリベスキンドの建築の構造設計を多く担当。
日本の建築家では伊東豊雄や坂茂あたりと組んでいるみたいです。
エンジニアサイドなだけに難解な文章で理解しにくいですが、
その中にも詩的な表現が多く現れているのが目を惹きました。
[ニコラス・G・ハイエックセンター]
建築エンニジアリング集団「Arup(アラップ)」の
設立20周年記念展覧会へ行ってきました。
この展示のビジュアル全般をうちの大学の先生がやっている、
という伝で知ったのですが、建築構造に興味がある、と言っておきながら
全くはじめて知る名前でした。
Arupは1946年にオーヴ・アラップにより設立。
ヨーン・ウッツォンのシドニー・オペラハウス、
レンゾ・ピアノ&リチャード・ロジャースのポンピドゥー・センター
など著名建築家の構造設計を数多く担当。
日本では1989年に関空の設計を機に日本事務所であるArup Japanを設立。
以来国内においても実に数多くの著名建築の構造設計を手がけてきました。
関空、セントレア、メゾンエルメス、犬島アートプロジェクト、ソニーシティ、
新丸ビル、秋葉原UDX、新宿/名古屋のモード学園ビル、
ザ ジュエルズ オブ アオヤマ、ジ・アイスバーグ、
ホテルメトロポリタン、富弘美術館、ノマディック美術館、モバイルアート、
そして今回の展示会場であるニコラス・G・ハイエックセンター...
どこかで目にしたことのある美しい建築構造のほとんどをArupで
手がけているといっても過言ではない圧倒的な実績の多さ。
それでいて、あまり世間には知られていない控えめさ。
...これぞエンジニアリングの鏡ではないでしょうか。