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2009年4月24日

アイデンティティ・デザイン

ビジュアルデザイン/ 学業


[Chermayeff & Geismar - "9 West 57th Street"]


水曜日は講義デー。

3限が「環境生活デザイン」、4限は「アイデンティティ・デザイン」を選択してます。

ガイダンスを聞いて、3限は概ね学びたい内容で選んだのですが、
4限は正直これといったものがなく、消去法で選んだ感じです。
取得単位としては充分なので、4限は受講しない、という選択もあったのですが、
なんか直感的に心に引っかかるものがあって、この授業を選びました。


自分はどんな人間なのか。
そして社会は自分をどう見ているのか。

「自己認識」と「他者認識」が同一化された状態。
それを「アイデンティティ(Identity)」といい、
特定の対象をそんな状態に持っていくことを「アイデンティティ・デザイン」と言います。



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アイデンティティ・デザインは分野的には情報デザインに入るのだと思いますが、
僕は正直情報デザインに対しては懐疑的です。

まあ情報デザインというものをよく理解していないから、なんだろうけど。


この授業の講師は自称日本で最先端のアイデンティティ・デザインをする会社で
活動されてるそうです。その先生がもっとも尊敬するデザイナーが、
Chermayeff & Geismar」。...初耳です。

しかしそのポートフォリオを見ると、
Mobil、NISSAY、MoMA、XEROX、ロックフェラーセンター、NYU(ニューヨーク大学)、
...など超有名企業がずらり。


企業においてはイメージ戦略が大事なのは分かる。
僕が前にいた会社にもCI(Corporate Identity)部門があったし、
経済的に重要な分野だということはなんとなく分かる。

ただ、僕が気になるのはそれが「本質的か?」ということ。
もちろん「本質」という言葉はある側面で曖昧さを持つ言葉だし、
本質的でないものはたとえ経済効果があろうと全て悪である、
などという極論を唱える気は毛頭ないのですが。


本質的なものはだいたい目に見えないものだと思う。
目に見えないから人は「形」にして分かろうとする。
それが「ものを作る」ということだと思う。
そしてその点がものづくりの大切な部分だと思う。

「イメージをデザインする」という点において、アイデンティティ・デザインは
グラフィックデザインなのだと思うのですが、僕の感覚ではグラフィックは
デザイン行為の中の途中過程、という位置です。

もちろん僕の嗜好が3Dにあるから、といえばそうなのですが、
僕等の意識は3D世界に存在しているのだから、
最終的に3D世界を通して自然に理解するほうがより深く物事を理解できるはず。

上手く表現できないけど、
紙面上にどんなに綺麗に描かれた建物の絵も、実物以上の感動は得られないし、
仮に得られたとしてもそれは一方でどこか違和感を感じるものである。

アイデンティティ・デザインの代表的なものは「ロゴ」だと思うのですが、
どんなロゴを見ても、僕は実物の綺麗な椅子を見る以上の感動は得られない。


アイデンティティを日本語訳すると「自我同一性」という言葉になるそうです。

自我というものは同一の時間においてでさえも、
同じ対象内に複数、極端に言えば無限の自我があると思う。
そして時間の経過と共に自我は常に変化してゆくし、
その変化の仕方も、けして直線的ではないし、規則的でもない。

そんな自我を自己意識のみならず、他者意識においても完全に一致させようと
することは「本質的に」考えれば永遠に無理だと思うわけで。

それでも人間は「誰かに理解されたい」と思う生きものだし、
他者に理解されることに喜びを感じる生きものである。

アイデンティティ・デザインはまさに人間のそういった特性から存在意義が
あるんだろうけど、本質に近づけば近づくほど永遠に近づけないことを知る、
というある種の「むなしさ」を感じてしまう気がして。
ビジネス的に成功するにはどこかで妥協しなければならない気がして。

まあ、このことはアイデンティティ・デザインに限らずどの分野でも
突き詰めればあてはまることなんだろうけど、
この分野はとくにその傾向を強く感じてしまう気がするのです。


本質的でありながら、見えないが故にその本質を感じられない空しさ。
その壁を越えてゆくには時間をかけてゆっくり学んでいく必要がありそうです。

この授業は毎回宿題が出ます。

今回は「名刺を作る」。

一癖二癖ありそうですが、作為がもろ見えなものは嫌いなので、
いたってシンプルなものにしようと思います。

...というかすでにもう作ったのがあるんですけどね。
これをそのまま使うか、多少いじるか考え中です。


なにはともあれ、この1年間アイデンティティ・デザインについて学び、
自分なりのなにかしらの回答が出せるよう頑張ります!



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