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2008年9月15日

モネの魅力

アート


[クロード・モネ『マヌポルト、エトルタ』1885年 フィラデルフィア美術館]


大学の基礎教育科目で「特講Ⅲ」という授業を選択しています。
講師は「社会と芸術」の中村隆夫先生。


内容はあらゆる世代の絵画の技法とか表現方法を学ぶもの。
その特講Ⅲの前期のレポート課題は、自分で絵画作品2点を選んで
テーマを設定して論じなさい、というもの。


...というわけで最も好きな画家である印象派のモネの絵をピックアップ。



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[ウジェーヌ・ブーダン『エトルタの浜辺』1890年 フィラデルフィア美術館]


モネのエトルタでの連作の一つ、「マヌポルト、エトルタ」。
もう一点は印象派に多大な影響を与えたと言われている
ウジェーヌ・ブーダンの「エトルタの浜辺」。

同じ場所を描きながら画家によって描かれる絵はこうも違う。
それが人間の個性というものなのでしょう。
ブーダンは空を、モネは海を描いた。


以下にレポートの内容を記載します。

これはひとえにモネの魅力を知って欲しい、という思いからです。
レポートはこんな風に書けばよい、という見本じゃありません。
レポートは自分の意見を述べることが大事なのであって、
人の意見をコピペすることになんの意味もありません。
...けっこうこのブログ、学生が見てるので念のため。

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【課題】 前期の範囲から自分でテーマを設定し、それについて論じなさい。
     授業で扱ったものとは別の作品2点を具体例として取り上げ、図版も添えること。
     (2000字以上)


テーマ: 「モネの魅力」


 テーマは自分の好きな画家という最も単純な理由で設定しました。ピックアップする作品はエトルタでの連作の一つ。もう一点は印象派に多大な影響を与え、モネとも親交のあったウジェーヌ・ブーダンの同じエトルタの風景を描いた「エトルタの浜辺」をピックアップ。モネは1885年、ブーダンはそれに遅れること5年の1890年にそれぞれ描いたものですが、ブーダンは1824年生まれ、対するモネは1840年生まれで年齢的にはブーダンのほうが上であり、画家としてはブーダンが先行していました。この2つの作品を僕は2007年東京都美術館で開催されたフィラデルフィア美術館展で見ましたが、同じ風景でも画家によってこんなに違ったものになることに驚きを感じたのを覚えています。同時にモネの描くエトルタの海の見事さに心を奪われたものです。

 ブーダンの描いたエトルタは砂浜からの低い視点で描いたもので、画面の大半は曇天の空が占めています。「空の王者」と称賛されるようにブーダンは空の描写に定評があるわけですが、本作品でも見事な描写力が伺えます。雲のない青空の場合は水色一色をべた塗りするだけでもそれなりの空になると思うのですが、曇天の場合は白一色でべた塗りすれば良い、というわけにはいかない。たとえ空一面が雲に覆われていたとしてもあくまで雲は形あるものであり、動くものである。その微妙な雲の動きを一面の曇天で表現するのは大変だろうな、と素人ながらも思ったわけです。

 一方モネのエトルタは崖を登り、高い視点からマヌポルトと呼ばれるアーチ状の岩を中心に描いたもの。こちらはブーダンとはうって変わって画面の大半を海原が占めています。あきらかにモネは空ではなく、海を描きたかったのでしょう。そして海面を描くことで光を表現したかったのだと思います。ここに印象派独特の「光の表現」が現れています。

 もう一つ印象派の特徴としては「タッチ(筆触)による表現」があります。ブーダンは厳密には印象派に分類される画家ではないですが、このエトルタの絵を見ると画面にタッチが見られます。
タッチは絵に個性を与え、絵の表現力を広げるものになったと思うのですが、まだブーダンの頃はタッチの表現に試行錯誤した感があり、なんとなく中途半端になっている気がします。この点は先日西洋美術館で開催されていたコロー展でコローの絵を見たときにも感じました。コローも印象派に大きな影響を与えた画家の一人ですが、初期の頃は作品にタッチが見られなかったものが、晩年の作品ではタッチが現れはじめている。そのタッチの試みはモネの世代に受け継がれ、印象派の最大の魅力として開眼した。僕にはそのように思えるのです。

  2007年に国立新美術館で開催されたモネ大回顧展で多くのモネ作品に触れたときに気付いたのですが、モネの絵を目を細めてやや焦点をぼかすような感じで眺めると、あたかも実際の風景の中にいるような、そして素晴らしい風景を実際に眺めたときに生じる感動と同じものが沸き上がってきます。印象派の多くの画家がタッチでそれぞれの個性を表現していますが、モネはタッチで個性を表現すると同時に美しいものをみたときに誰の心にも生じる感動を湧き起こさせる...それがモネの魅力ではないでしょうか。そしてエトルタやラ・グルヌイエール、睡蓮など水を題材にした絵ではより光の表現が強調され、絵の美しさが際立つ。だからモネの絵が好きでその中でも水を題材にした作品が一際魅力を感じるのです。


参考資料:
≪書籍≫
フィラデルフィア美術館展 図録 (最終ページ図版)

≪インターネット≫
Wikipedia
ブーダン: https://ja.wikipedia.org/wiki/ウジェーヌ・ブーダン
モネ: https://ja.wikipedia.org/wiki/クロード・モネ

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個性を存分に発揮しながら多くの人の心に共通して起こる感動を呼び起こす。
...それがモネの魅力なのではないでしょうか。



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