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2008年7月 9日

KEVIN ROCHE ケヴィン・ローチ【DVD】

建築デザイン/ 人物

kevin_merck.jpg
[DVDパッケージの表紙にもなっているメルク本社(1993年)](出典:www.krjda.com


デルファイの建築家ビデオ/DVDシリーズ。
今回はケヴィン・ローチ。

1本22,000円もするDVDを買えるわけがなく、
もちろん大学の研究室で借りたもの。


ケヴィン・ローチはエーロ・サーリネンの部下だった、ということで
その存在を知ったのですがミースの教え子でもあったんですね。
アイルランドで生まれ26才まで過ごした後、アメリカに渡ります。

サーリネンの死後はTWAターミナルビルやセントルイスのゲートウェイアーチなど
師匠の遺作の数々を完成させた後、技術者のジョン・ディンケルと
パートナーを組んで事務所を設立。
その事務所はいまやアメリカでもっとも成功している事務所だとか。

DVD中ではシーザー・ペリ、フランク・ゲーリー、リチャードマイヤーなどの
巨匠が登場しローチを褒めまくってることからも何となくすごい人なんだろうなあ...
とは思うのですが、


...それにしても影が薄い。思想もよく見えない。
自分にはそんな印象でした。



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...とはいっても彼の建築に興味がないとか嫌いなわけではなく、
彼の建築群はとても素晴らしいものばかりで好きです。

オフィシャルサイトでも数多くの作品が紹介されています。
画像はそこからいくつか拝借しつつ、とくに気に入ったものを以下に紹介していきます。

まず美術館関係。
実はローチの建築にはすでに訪れていました。
あの世界的に有名なNYのメトロポリタン美術館の増築を彼が手がけていたのです。
metropolitan_egyptarea.jpg
[メトロポリタン美術館:ミニエジプト寺院]

その中でももっとも人気のあるエジプトのミニ寺院もばっちり写真を撮ってました。


DVD中では出てきませんが、セントラルパークをはさんで
メトロポリタン美術館の向かいにあるアメリカ自然史博物館も彼が手がけているようです。
amnh_halls.jpg
[アメリカ自然史博物館]

ここも行った、行った。広かったなあ...

セントラルパークといえば、その中にある動物園も手がけています。
kevin_centralpark_zoo.jpg
[セントラルパーク動物園(1988年)](出典:www.krjda.com

セントラルパークも行ったけど、動物園の存在には気付かず。
だって広すぎるんだもの、あそこ。


ほかにはDVD中ではオークランド美術館が傑作として取り上げられてました。


[オークランド美術館]

公園の階下に作られた美術館で外観の形状よりは、
その構造、コンセプトが評価されているようです。


ローチは主に高層建築や大規模建築などをメインに手がけたそうです。
数多くの作品の中に住宅は3軒しか手がけていません。
住宅は修業時代にさんざんやったのかな。


[ワン&ツーUNプラザ(1975年)]

とても1970年代に建てられたとは思えない斬新さ。


こちらもなかなかステキです。


[フォード財団ビル(1968年)]

12階ぶんの吹き抜けアトリウムは圧巻。


カミンズエンジン社のオフィス空間。
kevin_cummins.jpg
[カミンズエンジン本社](出典:www.krjda.com

なんとなくライトのジョンソン&ワックス社のオフィスを連想してしまいます。
もちろんライトほど有機的ではなく、直線的だけどそれでも落ち着きは感じる。


[ライト設計のジョンソンワックス本社]


モダニストの第三世代として活躍していた彼の建築も徐々に変化してゆく。
kevin_jpmorgan.jpg
[JPモーガン本社(1988年)](出典:www.krjda.com

所々にネオクラシック様式が表れ、ポストモダンの傾向が出てきます。
...ポストモダンってまだよく分かってないんだけどね。


故郷アイルランドにも彼の建築はあるようです。

[ダブリン国際カンファレンスセンター:外観]

直方体に円柱がめり込むようなデザイン。
こんなデザインもするんですね。


トップ画像のメルク本社もそうですが幾何学的な外観が特徴的なものもあります。
kevin_general_foods.jpg
[ゼネラルフーズ本社(ニューヨーク州ライブルック1983年)](出典:www.krjda.com

映像中では「ネオクラシックヴィラ」と表現されていることから
ポストモダンなんでしょうけど僕には未来的にも見える。
どこかの宇宙ステーションみたいですよね。


ローチの作品が日本にもありました。
shiodome1_.jpg
汐留シティセンター

汐留のビル。
こんな近くにあったんだ...


このようにローチの建築は多岐にわたって様々なスタイルをとっています。
常に同じことをするのは退屈だ、常に新しいことに挑戦したい、と
自ら語るローチの姿勢が建築作品に表れていると思うのですが、
それは師であったエーロ・サーリネンのスタイルでもあった。
師の教えを忠実に守っているんですね。


しかし一方でどこかで影の薄さを感じさせる部分も否めない。
マーケットプレイスという点では確かにもっとも成功している建築家の一人なのでしょう。
しかしライトやカーンのような存在感はない。思想も感じられない。

彼のイメージは素直で実直、真面目。
それは人格的にはとても素晴らしいのだけど、
個性や思想、という点ではどうなのだろう。
真面目すぎてつまんない。
そしてそこが彼のスタイルを分かりにくくしているような気もする。

それはとりもなおさず自分のスタイルについて考えさせられる。

僕はどちらかというとシンプルなものが好きで、
クセはできるだけ排除したいと思ってました。
でもそれははたして正しいことなのだろうか?


逆にライトやカーンの私生活や人格は正直褒められたものじゃない。
迷惑を受けている周囲の人も少なくない。
仕事と家庭の両立は今も昔も変わらぬ永遠のテーマのようで。

一癖も二癖もありそうな性格。
スタイルというものはそのほうが明確になるものなのか?


...うーん迷ってきた。


僕らは美しいものを欲しているのではないのか?
善は悪から生まれるのか?
美は醜から生まれるのか?


うーん...



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