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2016年7月17日

「ル・コルビュジエの建築作品」世界文化遺産登録

建築デザイン/ 空間デザイン

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[上野・国立西洋美術館]


2016年7月17日、トルコで開催されていたユネスコの世界遺産委員会で、
日本の国立西洋美術館を含む7カ国17資産で構成されるル・コルビュジエの建築作品が、
世界文化遺産に登録されることが正式に決定しました。

実際は前日の16日に審議されるはずだったのですが、
トルコで突如として起こったクーデター未遂事件で中止、
翌17日に再開され、決定に至りました。

2009年と2011年の過去2回の審議で登録が見送られ、
今回三度目の正直でようやくの登録。
長い道のりだったんだなあ。

東京23区で初、大陸間をまたいだ遺産としても初の登録。
そして国内20件目の世界遺産登録となります。



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by ArchDaily


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[サボア邸(ギャルリー・タイセイでの展示模型)]

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[ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸(ギャルリー・タイセイでの展示模型)]


今回登録された「ル・コルビュジエの建築作品」の内訳(Wikipediaより)。

[フランス]
1.ラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸
2.ペサックの集合住宅
3.サボア邸と庭師小屋
4.ポルト・モリトーの集合住宅
5.マルセイユのユニテ・ダビタシオン
6.サン・ディエの工場
7.ロンシャンの礼拝堂
8.カップ・マルタンの休暇小屋
9.ラ・トゥーレット修道院
10.フィルミニの文化の家

[スイス]
11.レマン湖畔の小さな家
12.イムーブル・クラルテ

[日本]
13.国立西洋美術館

[ドイツ]
14.ワイセンホフ・ジードルングの住宅

[ベルギー]
15.ギエット邸

[アルゼンチン]
16.クルチェット邸

[インド]
17.チャンディガール


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[ドミノシステムの模型(ギャルリー・タイセイ)]


近代建築の父、と呼ばれるコルビュジエですが、
自分は建築を生業にしているわけではないので、正直その功績について正しく語れない。
ただ、美大でデザインを学び、造形美・構造美の追求に興味ある身としては、
大いに興味がそそられる建築家です。

建築に関する本を多く出しており、美大時代には以下の著書を読みました。

 ・建築をめざして
 ・輝く都市
 ・モデュロール
 ・ユルバニスム
 ・建築へ―ル・コルビュジェ ソーニエ

また、以下の3つの展覧会を見にも行きました。

 ・ル・コルビュジエ展【森美術館】
 ・ル・コルビュジエと国立西洋美術館
 ・ギャルリー・タイセイ「ル・コルビュジエの建築」第1部


自分の認識としては、彼の最大の功績は「建築の大量生産化」じゃないかと。
建築の主要な構成要素をスラブ・柱・階段とする「ドミノシステム」や、
人体の寸法と黄金比から作った建造物の基準寸法の数列「モデュロール」を提唱。

家やビルそのものを工場で生産することはできないけれど、
それらを構成する部品を単純化・共通化することで、工場で大量生産し、
効率的に多様な大規模建造物を実現することができるようになった。
建築単体が多様化することでそれらが集まる都市も多様化・高度化し、
人間社会は飛躍的・爆発的に拡大した。

もちろんコルビュジエがどんなに優秀であっても、
人間一人の力でこれだけの効果を挙げられるわけもなく、
コルビュジエと同時代に活躍したライトやミース、グロピウスといった巨匠や
彼らに影響を受けた弟子たちにより拡散していったモダニズム運動の結果なんだろうけど。


しかし、どんなに優れた建築哲学も行き過ぎれば及ばざるが如し。
行き過ぎた効率重視、スピード重視、経済効果重視はやがて深刻な「過剰」を生みだしてゆく。

本来多種多様な美しさや快適さを追求するための変革だったはずが、
気づけば醜い建築、いや、建築と呼べないシロモノで世界は溢れてしまった。

今回のコルビュジエ建築の文化遺産登録がそのことを考え、これからの建築はどうあるべきか、
考えるきっかけになったらいいなあ、と素人ながらに感じる次第です。


ちなみに、日本の世界遺産一覧(Wikipediaより)。

[文化遺産]
1.法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)
2.姫路城(兵庫県)
3.古都京都の文化財(京都府・滋賀県)
4.白川郷・五箇山の合掌造り集落(岐阜県・富山県)
5.原爆ドーム(広島県)
6.厳島神社(広島県)
7.古都奈良の文化財(奈良県)
8.日光の社寺(栃木県)
9.琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄県)
10.紀伊山地の霊場と参詣道(和歌山県・奈良県・三重県)
11.石見銀山遺跡とその文化的景観(島根県)
12.平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群(岩手県)
13.富士山―信仰の対象と芸術の源泉(静岡県・山梨県)
14.富岡製糸場と絹産業遺産群(群馬県)
15.明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業
  (山口県・鹿児島県・静岡県・岩手県・佐賀県・長崎県・福岡県・熊本県)
16.国立西洋美術館(東京都)

[自然遺産]
17.屋久島(鹿児島県)
18.白神山地(青森県・秋田県)
19.知床(北海道)
20.小笠原諸島(東京都)

こうしてみると、日本の半分以上の都道府県に世界遺産ってあるんですね。
そう考えると、希少性はあまりないんだなあ。

多くの魅力的な場所の価値が世界遺産として認められるのは喜ばしいことですが、
世界遺産に登録されることでよりメジャー化、観光地化して人であふれるのは、
個人的にはあまり喜ばしいこととは思えません。
魅力的な空間を維持していくためにはある程度経済効果がないとやっていけない、
という理屈は分かるのですが、度が過ぎればその魅力を失うことにもなりかねない。

そう考えるとなかなか複雑な心境になりますね...


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