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2010年9月30日

D.N.A.【卒業制作中間審査会】

学業

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卒業制作中間審査会が終わりました。


先に講評結果から述べると、
意外にも、全体的にも個人的にも概ね好評でした。
どちらかといえば作品の出来不出来よりも、プレゼンが評価された感じ。

プレゼンは確かに重要だ。
どんなに良いものを作っても、その良さが相手に伝わらなければなんにもならない。

しかし一方で、良いものは言葉がなくてもその良さが伝わるものだ、
という気持ちもなくはない。


個人的にプレゼンは必要以上に上手になってはならない、という思いがある。
プレゼンはデザイン固有の手法ではなく、
あらゆる分野における社会的な基本スキルである。
そしてプレゼンは言葉を主体とした表現手段である。
情報デザインならともかく造形デザインにおいては、
その表現は言葉が全面に出るようなことがあってはならないと思う。
それは作品として時にその価値を誤魔化してしまう怖れもある。
はっきり言えば、必要以上に良く見せてしまう場合もある、ということである。
とくにデジタルツールが誰でも手軽に扱える現代ではとくに。

上手すぎるプレゼンはもはや良いデザインではなく、良い営業となってしまう。
もちろんデザイナーとて、営業手腕は大事ではあるけれど。

ものの真の価値を見出す力と、その価値を表現する力、
どちらも大切にしながら良いものを作っていきたい。


しかし、いくつになってもプレゼントは緊張するもんだ。


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さて、プレゼンおぼえがき。


僕が卒業制作でやりたいことは、
美しい「かたち」の追求による、美しい空間の表現。


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制作の出発点となる背景。
現代社会のものづくりを象徴するルイス・サリヴァンの言葉。
この言葉に疑問符をつけることからこの制作は出発する。

良い「かたち」(良い空間)は必ずしもまず良い機能ありき、なのか?
美しい「かたち」から良い機能が生まれることもあるのではないか?


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造形のアプローチ。

現代社会は「箱」ベースで構成されている。
スマートで効率的で扱いやすく、丁寧に作れば美しくもなる。
しかし自然界にはあまり存在しない形状であり、人工の象徴とも言える。
その意味では人間の象徴とも言えるけれど、どこか冷たい感じもある。


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そこでこの箱をねじってみる。
直線要素で構成されているのに、曲面が生まれる。
どこか有機的になり、暖かみのある人間性を感じる。


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さらにねじった箱を反復させてみる。
全体形が基本要素(ねじった箱)に左右されない、独創的なものとなる。
基本要素の組み合わせ方によって、柔軟に全体形を変えることができる。

この造形アプローチは、まさに有機体を構成するDNAごときものである。


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基本要素の造形検討。

まず、「ねじれた箱」を対角線で割る。


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それを背中合わせに接合する。


こうしてできた基本形を反復させて全体形の造形検討をまず小さい模型レベルで実施。

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こうしてできた全体形に機能を与えてみる。

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バスステーション。


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変電塔。


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入場ゲート、改札、あるいはパーテーション、壁。


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このような造形を現代社会に組み込むことで...


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箱形社会に有機性を与え、人間が自然の一員であることを再認識させる。
それにより、自然を大切にする心が芽生えるのではないだろうか。


なんとか制限時間3分ちょうどでプレゼンを終了。
審査員の先生方にもそれなりに興味を持ってもらえたみたいで、
2分の質疑応答時間もあっという間に終わる。


プレゼンデータの他に、
模型とスケールアップした木の基本要素形を展示したのだけど、
やはり興味を持ってもらえたのはスケールの大きい木の基本要素形。
幅広く造形検討するためにかたちを可変できるようにしたのだけど、
造形そのものよりも、この可変できる仕組みが面白い、と
自分の意図しない部分が評価されました。


もちろん、問題点の指摘もありました。

  ・「美しいかたち」の美しさについて、自分の主観だけで判断しないこと。
   広く第三者に見せて意見をもらうように。

  ・タイトルが制作内容とマッチしていないのでは?
   ...確かに安易につけたものだけれど。

  ・この形から導きだされる機能はもっと別のところにあるのでは?
   ...確かにこれもとってつけたように直前に用意したけれど。


さて、山場をひとつ乗り越えたけれど、まだ小さな山にすぎない。
2ヶ月後には最終審査会、という大きな山が待っている。

今後の展開についても、まだ明確な道が見えてないし、制作費の確保も厳しい。


先行き不明不安だらけだけど、頑張るっきゃない。
とりあえず制作費の確保のために新しいバイトを探さなきゃな~

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