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2017年4月 4日

古の人は民と偕に楽しむ、故に能く楽しむなり【偕楽園|茨城県水戸市】

空間デザイン/ アート

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「古の人は民と偕(とも)に楽しむ、故に能く楽しむなり」(孟子)

東京でミュシャ展並河靖之展の二つの展示をはしごした後、急ぎ水戸へ移動、
駅周辺のホテルに宿泊した翌朝。

水戸で二つの展示をはしごする前に、偕楽園に行ってきました。
1月にNHKで放送された「ブラタモリ」をみて、行きたいなあと思っていたところに、
急遽決まった上京計画。
これはもう、行くっきゃない、と。

水戸の偕楽園は金沢の兼六園、岡山の後楽園と並ぶ日本三名園の一つで、
天保13年(1842年)に水戸藩第九代藩主、徳川斉昭公が、
「領民と偕(とも)に楽しむ」場にしたいと願い創設しました。

斉昭公は陰陽の調和の大切さに重きを置き、
陰陽の調和を図ることを「一張一弛」(弓を張ったり、弛めたりすること)を例にして示し、
勤労と休息の適切さが治世の要点であることを強調しています。
学びの場である弘道館に対する休息の場として偕楽園は創設されました。



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「一張一弛」の精神は偕楽園の庭園構成にも反映されています。
偕楽園と言えば広大な梅園が有名で、たいていの人はいきなり東門から入って梅園しか見ないけれど、
梅園は広大な庭園の一部でしかなく、本来の正門である好文亭表門から中に入ると、
まずは竹林や杉林での構成される幽遠閑寂な「陰」の空間が広がります。
この「陰」の空間を抜けて「陽」の場である梅園へ抜けることで、
梅園の華やかさがより鮮明に引き立つ。


好文亭表門。
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もうワンクッションの一の木戸を抜けると...
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広がる「陰」の世界。

左手に竹林、右手に杉林。
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中門。
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「陰」と「陽」の狭間にある好文亭。

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[チケット]

斉昭公が領民と偕に楽しむ場として自ら設計に携わった別邸と、
藩主夫人などの休養の場であった奥御殿で構成されます。
「好文」とは学問を好むという梅の異名だそうです。
人々が学問や武芸に励むかたわら、ここで心身を保養してもらいたい、
という斉昭公の想いが込められています。
狭義では別邸を、広義では別邸と奥御殿を総称して「好文亭」と呼びます。


建物へと続く露地。
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まずは奥御殿から。

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奥御殿は全10室の茅葺きの平屋ですが、
その魅力はなんといってもそれぞれの部屋の見事な襖絵。


菊の間。
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桃の間。
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つつじの間。
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紅葉の間。
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松の間。
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竹の間。
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梅の間。
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清の間。
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萩の間。
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桜の間。
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太鼓橋廊下を渡って別邸へ。
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別邸は二層三階の柿葺の建物です。

華燈口。
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東塗縁。
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18畳の漆塗りの総板張り広間。
老親や老庶民を招いて養老の会を催したとか。


御座の間の仕切り戸。
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6畳の質素な藩主の間。


西塗縁。
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36畳の漆塗りの総板張り広間。
詩歌の宴などがしばしば開かれたとか。


対古軒。
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4畳半の小間。
雅会や茶会の際に、静坐して気持を落ち着ける場。


階段を上がっって階上へ。

二階は小さな武者控室のみ、そして三階に上がると...
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現れる絶景。
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三階部分をとくに「楽寿楼」と呼びます。

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独特の屋根。
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露地門。
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待合。
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広大な梅林。
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江南所無。
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白梅。
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御成門。
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東門。
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日本三名園のうち、偕楽園以外の二つは特別名勝に指定されていますが、
偕楽園は名勝・史跡どまりです。

後楽園はまだ訪れたことがないのでなんとも言えませんが、
春夏秋冬魅力的な顔を見せる兼六園に比べて、
偕楽園はオンシーズンとオフシーズンの差が激しい。

梅が咲き誇る頃であればさぞかし圧巻の風景があるのでしょうが、
その季節が過ぎてしまうと、ただの野原、という感が否めない。
ここに「一張一弛」の悪い側面がある気がします。
良い側面が引き立つ、ということは悪い側面も引き立ってしまうのである。

あえて池を作らず千波湖という自然の湖を池に見立て、
自然地形を有効活用した庭園、というのも聞こえはいいけれど、
実際訪れてみると広すぎて庭としての体が見えにくい気がしました。

斉昭公の陰陽一体の世界観は素晴らしいと思いますが、
もう少し範囲を狭めて境界をはっきりさせれば、
よりこの世界観の魅力が引き立つんじゃないかなあ。

でもまあ、好文亭は想像以上に素晴らしかったので大満足です。
ここがたった200円で見れるなんてもったいない。

残るは後楽園。
こちらもいつか訪れたいものです。


【Information】オフィシャルサイト

<偕楽園本園>
開園時間:(2/20〜9/30)6:00〜19:00 (10/1〜2/19)7:00〜18:00
休園日:なし
入場料:無料

<好文亭>
開園時間:(2/20〜9/30)9:00〜17:00 (10/1〜2/19)9:00〜16:30
休亭日:12/29〜12/31
入場料:大人200円 小中学生100円


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