2017年1月18日

ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡【愛媛県美術館】

アート / 展示・イベント

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[本展図録 2,500円]


愛媛県美術館で開催中のウィリアム・モリス展に行ってきました。

格別モリスが好きなわけではないけれど、
モダンデザインの歴史を学ぶとき、その黎明期に必ず登場する人物でありながら、
テキスタイルデザインを専攻しない限りじっくりとそのデザインについて
吟味することもなく、「なんとなく」程度にしか頭に残っていない。
デザインの本質を理解するにはやはりその発祥を知ることが大事で、
本展はそのまたとない機会、ということで楽しみにしてました。


ウィリアム・モリスは産業革命を迎えたイギリス、ロンドン郊外の裕福な実業家の家庭に生まれた。
少年時代は近くのエピングの森の豊かな自然を遊び場とした。
エピングの森にはエリザベス女王の狩猟小屋があり、
その一室にかけられていたタペストリーに魅了された。
この最初の中世芸術との出会いがずっと彼の頭の片隅に残っていた。

聖職者を目指してオックスフォード大学に入るが、親友バーン=ジョーンズとともに
マスプロ化へ向かう産業革命を批判し、中世のクラフツマンシップを賞賛した
ジョン・ラスキンの著作「ヴェネチアの石」を読み耽り、
ラファエル前派の存在を知ることで関心が芸術へと向かい、
ラファエル前派メンバーの一人、ロセッティに師事するようになる。
そこでロセッティのモデルを務め、後にモリスの妻となるジェイン・バーデンと出会う。

最初は建築を志ざし、その後画家を目指すようになるが思うようにいかず、
結局詩や装飾芸術に身を捧げる決心をする。
こうしてみると、けっして天才肌ではなく挫折の繰り返しだったようで親近感が湧く。

いつの世も、最先端のものに対して懐疑的になることで、その次の最先端が登場する。
技術至高主義に対するアンチテーゼとしてデザインは誕生した。
ただ単に一部の特権階級のための限定的な芸術に回帰するのではなく、
対象を大衆というオープンなものにすることで「デザイン」という新しい概念が生まれた。

...そういうことなのだろうか。


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2017年1月 9日

地域別に見るロマン主義の多様性

アート

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[テオドール・ジェリコ『襲撃する近衛騎士官』1812](出典:Wikipedia)

それまでの装飾的・官能的なバロック、ロココの流行に対する反発として、
18世紀中頃から19世紀初頭にかけてに台頭した新古典主義。
しかしそれもやはり一通り落ち着いてしまうと、時代はさらに次の様式へと移行する。

それがロマン主義。
保守的・安定的だった新古典主義に対して、再び革新的でダイナミズムな作風へ。

...歴史は繰り返す。


本記事は社会人学生時代の自分の西洋美術史のテスト答案を元に再構成したものです。
テストは授業内容(ルネサンス以降の美術史)の中から2つ、
自分にとって「最も大きな発見」をピックアップして自分の意見も含めて説明しろ、というもの。

自分は「バロック様式」と「ロマン主義」をピックアップ。

採点は見事100点をいただきましたが、
だからといって本記事が客観的に絶対正しい、ということを保証するものではありません。
あくまで一学生の主観に基づくレポートであることをご理解ください。


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地域別に見るバロック芸術の多様性

アート

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[ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ『マグダラのマリアの改悛』(1590年代半ば)]
 (出典:Wikipedia)

秩序の支配を受けることとなったルネサンスへの反動から、
マニエリスムを経て時代はバロックへ。

不安定なときは安定を求めて人は動くが、
一度安定してしまうと、今度は退屈という感情が襲ってきて、
今の安定を捨て、新たな別の安定に向けてあえて不安定を選択する。

歴史はその繰り返しだ。

本記事は社会人学生時代の自分の西洋美術史のテスト答案を元に再構成したものです。
テストは授業内容(ルネサンス以降の美術史)の中から2つ、
自分にとって「最も大きな発見」をピックアップして自分の意見も含めて説明しろ、というもの。

自分は「バロック様式」と「ロマン主義」をピックアップ。
特にバロック様式は西洋美術史の中でも一番好きなジャンルでもある。

採点は見事100点をいただきましたが、
だからといって本記事が客観的に絶対正しい、ということを保証するものではありません。
あくまで一学生の主観に基づくレポートであることをご理解ください。


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2016年12月30日

耕三寺博物館3・千仏洞/未来心の丘/金剛館【広島県尾道市・生口島】

空間デザイン / アート

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「お寺とミュージアム」がテーマの今回の遠出、
広島県福山市の神勝寺に続いて、尾道市のしまなみ海道上の島・生口島の耕三寺にやってきました。

耕三寺は大阪で事業を営んでいた金本福松(後の耕三寺耕三)氏が1927年(昭和2年)に、
母のために故郷に隠居所(潮聲閣)を建てたのが元々のはじまりで、
母親の死後の1935年(昭和10年)、母への報恩感謝の意を込めて自ら僧籍に入り、
菩提寺として生涯を掛けて建立した浄土真宗本願寺派の寺院です。

周囲に何もない瀬戸田の土地に誇れる文化を、という熱意も相まって、
境内には日本各地の古建築を模した15棟の国登録有形文化財の建物に加えて、
仏像・書画・茶道具などの美術コレクションを境内の僧宝蔵と法宝蔵及び分館・金剛館に展示、
さらに本堂の地下には仏教の地獄観・極楽浄土観を表現した千仏洞、
本堂の奥にはイタリアで活躍する日本人彫刻家・杭谷一東氏による彫刻庭園「未来心の丘」など、
境内全体を博物館施設とした「耕三寺博物館」となっています。


さて、下段中段・上段と上がってきた後は、本堂の地下に広がる千仏洞と、
本堂の奥にある未来心の丘を巡った後、最後は下段山門まで降りてきて、
道路を挟んだ先にある分館・金剛館を紹介していきます。

耕三寺はあくまでお寺なので、その本分は本堂を中心とした寺社建築にあるわけですが、
それだけなら積み重ねた歴史が浅いぶん、古来からの寺社群には勝てない。
寺社の領域を越えたところにあるこれらののスポットがあればこそ、
耕三寺独自のアイデンティティが誕生し、魅力的な空間を生み出しているのではないだろうか。


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耕三寺博物館2・中上段【広島県尾道市・生口島】

空間デザイン / アート

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「お寺とミュージアム」がテーマの今回の遠出、
広島県福山市の神勝寺に続いて、尾道市のしまなみ海道上の島・生口島の耕三寺にやってきました。

耕三寺は大阪で事業を営んでいた金本福松(後の耕三寺耕三)が1927年(昭和2年)に、
母のために故郷に隠居所(潮聲閣)を建てたのが元々のはじまりで、
母親の死後の1935年(昭和10年)、母への報恩感謝の意を込めて自ら僧籍に入り、
菩提寺として生涯を掛けて建立した浄土真宗本願寺派の寺院です。

周囲に何もない瀬戸田の土地に誇れる文化を、という熱意も相まって、
境内には日本各地の古建築を模した15棟の国登録有形文化財の建物に加えて、
仏像・書画・茶道具などの美術コレクションを境内の僧宝蔵と法宝蔵及び分館・金剛館に展示、
さらに本堂の地下には仏教の地獄観・極楽浄土観を表現した千仏洞、
本堂の奥にはイタリアで活躍する日本人彫刻家・杭谷一東氏による彫刻庭園「未来心の丘」など、
境内全体を博物館施設とした「耕三寺博物館」となっています。


下段部分に続いて、中段・上段部分へと上がっていきます。
耕三寺は基本的に左右対称のシンメトリー構造となってますが、
これが完全なシンメトリーだとちょっと退屈なものになってしまうのですが、
下段部分では潮聲閣や仏法殿、上段では救世観音像や銀龍閣、茶祖堂などで
少しバランスを崩すことで来訪者の興味を換気する。
さらに境内の地下や外に千仏洞や未来心の丘・金剛館を配することでさらにその興味は強くなる。

出発は伝統的なスタイルの寺社をモデルにしながらも、
試行錯誤で魅力の追求に力を入れることで耕三寺にしかない独自のスタイルができあがった。


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耕三寺博物館1・下段【広島県尾道市・生口島】

空間デザイン / アート

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「お寺とミュージアム」がテーマの今回の遠出、
広島県福山市の神勝寺に続いて、尾道市のしまなみ海道上の島・生口島の耕三寺にやってきました。


耕三寺は大阪で事業を営んでいた金本福松(後の耕三寺耕三)が1927年(昭和2年)に、
母のために故郷に隠居所(潮聲閣)を建てたのが元々のはじまりで、
母親の死後の1935年(昭和10年)、母への報恩感謝の意を込めて自ら僧籍に入り、
菩提寺として生涯を掛けて建立した浄土真宗本願寺派の寺院です。

周囲に何もない瀬戸田の土地に誇れる文化を、という熱意も相まって、
境内には日本各地の古建築を模した15棟の国登録有形文化財の建物に加えて、
仏像・書画・茶道具などの美術コレクションを境内の僧宝蔵と法宝蔵及び分館・金剛館に展示、
さらに本堂の地下には仏教の地獄観・極楽浄土観を表現した千仏洞、
本堂の奥にはイタリアで活躍する日本人彫刻家・杭谷一東氏による彫刻庭園「未来心の丘」など、
境内全体を博物館施設とした「耕三寺博物館」となっています。


隣に平山郁夫美術館があることもあり、何度となくこのお寺の前を通っていたのですが、
華美な装飾の門構えになんとなく薄っぺらさを感じてしまい入るのを躊躇していたのですが、
神勝寺での興奮を勢いにようやく今回中に入ってみたのですが...


門の前で感じていた「薄っぺらさ」は微塵もなく、
まったくの自分の偏見であり、感じていたのは自分の薄っぺらさだった。
その内部は濃密な魅力の詰まった空間でした。

模倣そのものは悪ではない。
創造の過程においてその起源は模倣からはじまるのだから。
何もないところから何か生まれたりはしないのだから。
模倣を繰り返すことで表現者独自のクセとでもいうものが加わることで、
新たな表現が生まれてくる。

新しい創造とはそういうものではないだろうか。


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2016年12月28日

美しい駅前空間・福山城【広島県福山市】

空間デザイン

なかなか立派なもんだぜ、福山城。 青空見えてるけど傘持ちながら撮ってるんだぜ。

Tadao Higakiさん(@tadaoh73)が投稿した写真 -


広島県福山市の「神勝寺 禅と庭のミュージアム」に行った折、
せっかくなので福山で一泊しようと福山駅前に宿を取ることに。

福山駅の北側には福山城があり、東京で会社員をしていた頃、
実家に帰省する度に新幹線の車窓からこの福山城を眺めていたものですが、
上京してからじつに25年以上の月日を経て、ようやく訪れることができました。

福山駅は新幹線はもちろん、在来線も高架の完全な高架駅なのですが、
駅周辺の南北を結ぶ道路は狭く、南側の雑多な繁華街に対し、
北側は天守閣を博物館にした福山城博物館をはじめ、
ふくやま美術館や広島県歴史博物館などが集まる静かな文化エリアとなっています。
線路を挟んでまったく異なる顔を持っているのが特徴的です。

今回は北側の見事な美術空間をレポートしていきます。


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2016年12月26日

神勝寺 禅と庭のミュージアム2・無明院【広島県福山市】

空間デザイン / アート

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広島県福山市のお寺のミュージアム「神勝寺 禅と庭のミュージアム」後編。
後半は前半の賞心庭をさらに上っていった無明院を中心としたエリアを紹介していきます。

賞心庭を抜けて五観堂、鐘楼門、花紅苑、秀路軒、竹径、一来亭などの
建屋、庭園を経て無明院へと至ります。


無明院は1977年に建立された神勝寺の本堂です。
建立者が実業家だったせいか外観は一見して伝統的な寺社スタイルですが、
鉄筋コンクリート造りで三百畳の広さの本堂はピロティで持ち上げられて、
一階部分は駐車場となっているなど、近代的な要素の目立ったものとなっています。

古来からの寺社のように積み上げてきた歴史がないぶん、
外から良いものを貪欲に取り入れることで、独特の魅力が形成された。


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2016年12月25日

神勝寺 禅と庭のミュージアム1・賞心庭【広島県福山市】

空間デザイン / アート

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2016年最後の遠出。

今回は「お寺とミュージアム」をテーマに広島県のお寺二箇所を周りました。

一つは今回紹介する福山市の神勝禅寺、もう一つが生口島の耕三寺です。
共に開基が元々は実業家という異色のお寺であり、
いわゆる一般的な寺社とは一風変わった雰囲気が楽しめる場所ではないでしょうか。


神勝寺は正確には「臨済宗建仁寺派天心山 神勝禪寺」といい、
福山市は海際の閑静な山の中にあります。
本寺は当時常石造船の社長であった神原秀夫氏が益州宗進禅師を勧請開山として、
1965年に建立(宗教法人認可)された、臨済宗建仁寺派の特例地寺院です。

元々あった白隠禅師の禅画・墨跡のコレクションおよそ200点に加え、
2016年9月に名和晃平|SANDWICH設計によるアートパビリオン《洸庭》が新たに作られ、
お寺全体をミュージアムに見立てた「禅と庭のミュージマム」がオープンしました。

もちろん、この《洸庭》が一番の見所ではありますが、
それ以外にも藤原照信設計の寺務所「松堂」など、見どころ満載な空間です。

会場は《洸庭》のある賞心庭エリアと白隠コレクションのある無明院エリアの
大きく二つに分けられますが、本記事ではまず賞心庭エリアを紹介していきます。


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2016年11月21日

I'm pinterested in !

ツール



インスタ同様、pinterestの画像もブログに簡単に貼り付けられるようです。

pinterstはいわゆる画像のブックマークツールですが、
del.cio.usなどのいわゆるURLブックマークツールよりも浸透しつつあるのは、
画像のもつ可視性によって、質の高い画像が集まることでpinterstそのものが
自然と「おしゃれツール」になるところにあるんでしょうね。
その点はインスタと共通する部分ではないでしょうか。

pinterestではどのような画像をセレクトして、どのようにカテゴライズするかが、
個々のアカウントの個性となるわけですが、
赤の他人の画像を無作為に集めてくる場合は自己主張というよりは、
アイデアの参考に、というスタンスで使うのが主目的になります。
アイデアを他人に盗用されたくない、という旧来の考え方の世代には浸透しないのでしょうが、
ネット文化が浸透し、「アイデアの共有」が基本のオープンソース世代が増えつつある
時代になって成立するようになったWebサービスといえます。


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