TOKYO FIBER '09 SENSEWARE【21_21】

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原研哉ディレクションのSENSEWAREに行ってきました。

去年に引き続き、と思いきや前回行ったのは2007年だった。
去年も開催されたのだろうか。
全くノーマークだった。

2007年の会場は表参道のスパイラル。
今年は六本木ミッドタウンの21_21 DESIGN SIGHT。
今年も入場無料。
21_21にしては特例的なイベントといえます。


日本の人工繊維は新たなSENSEWAREである。石器時代に石という素材が人間の創造性を目覚めさせたように、また、紙という媒質が印刷をはじめとする膨大な知の生活を誘い出したように、ハイテクノロジーで進化した人工繊維は人間にどのような創造を意欲させるだろうか。あるものは細胞のように微細に、あるものはゴムよりもしなやかに、またあるものは金属のような電導性を備えて。この展覧会は、新しいSENSEWAREが拓いていく領域をヴィジュアライズする試みである。建築や諸分野のデザイナー、クルマやハイテク家電メーカー、メディアアーティスト、植物アーティスト。はたしていくつの可能性をこの試みに呼び集めただろう。ものづくりのさらにその先へ向かって、技術、素材、才能が交差する。ここに覚醒される感覚の中に、具体的な未来を感じていただきたい。(原研哉 展覧会ディレクター、展覧会パンフより)


SENSEWARE...「感覚をまとう繊維」。
なんとも素敵な響きじゃないですか。


senseware09.jpg
[各作品ごとに配布されているパンフレット]


予想に反して前回と同じ展示はほとんどなかった。
技術の進歩はめざましい、ということでしょうか。
前回の展示が未来の夢を語るようなものであったのに対し、
今回の展示は近い将来実現しそうな、よりリアル感のあるものになっていたような気がします。

今回の参加企業、アーティスト、デザイナーも実力派が勢揃い。

 繊維提供企業: ユニチカ、東レ、旭化成、東洋紡、三菱レイヨン、クラレ、帝人など
 参加企業: 日産自動車、パナソニックデザインセンターなど
 アーティスト:
   東信、鈴木康広、津村耕佑、隈研吾、青木淳、佐藤可士和、坂茂、nendo、
   ロス・ラブグローヴ、グエナエル・ニコラなど

今年はソニー、ホンダは参加せず。
代わりに日産が参加してますね。


今回の展示中で一番気に入ったのが、
ユニチカの「テラマック」という素材を使ってフラワーアーティスト東信が表現した「苔時間」。

人工に創られたものは簡単には自然には還らない。
それが人工物の欠点であり宿命であった。

このテラマックという人工繊維は分解して土に還るという。

人間の叡智はエゴを越えられる。


ほかには東レの「トレカ」を使った青木淳の「THIN BEAM」、
三菱レイヨンの「エスカ」を使った隈研吾の「CON/FIBER」といった建築作品も面白かった。
やはり建築分野に目が行ってしまうのだろうか。

超軽量強化繊維による長いキャンティレバー、
光ファイバーを埋め込むことで実現される光を透過するコンクリート。
これらの素材で建築はどのような可能性が切り拓けるのか。
これらの作品はその可能性を可視化してくれる。


あっさり見終えたような気がするけれど、
こうして整理してみると、いろいろ感じること、得ることがあったんだな。