「骨」展【21_21】

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MOMATでゴーギャン展を見たその足で。

21_21の「骨」展を見にいってきました。
LEDの山中俊治ディレクション。

この展示を見る前に乃木坂のギャラリー「間」で
カンポ・バエザの展示を観にいったのだけど、
クライン・ダイサム展に続いてイマイチで消化不良だったので、
ミッドタウンまで足を伸ばして見てきました。

外は真夏日でうだるような厚さ。

21_21前の人工水路では足湯ならぬ「足水」で涼をとるイベントが開催されてました。

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思わずそこで涼をとりたくなりましたが、我慢して21_21へ。


構造に興味ある身としては、
「骨」というキーワードは多いにそそられるものがあったわけですが。

...正直期待以上の面白さだった。


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本展は【標本室】と【実験室】の二部構成となっています。

  【標本室】
  工業製品の「骨」や「骨格(構造)」を静物の写真と共に展示し、考察

  【実験室】
  「骨」と「骨格」から着想し、出展作家の考察によって生まれた作品を展示。


入口でしりあがり寿氏による会場マップが配られますが、これはほとんどおまけで
会場内には「on the fly」というハイテクな会場案内装置が設置されてます。

天上にプロジェクタとセンサーが設置され、
床上のテーブルに置かれた紙に映像が投影されます。

紙はテーブル上を自由に動かせるようになっていて、
センサーで映像を追随させるようになってます。

紙を各作品の方向に向けるとその作品の解説が表示。
紙には目印となる穴が空けられていて、
そこを人の手で触ると作品の解説や、作家のプロフィール情報などが
スイッチの作用で切り替わるようになっています。
まさにハイテク。


まずは標本室。

入口付近に展示してあるフェアレディZのシャーシ。

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会場内は撮影禁止でかつ地下にあるため、唯一外から撮れる作品。

...が正直美しいとは思えなかった。


それに反してダチョウの骨格標本、湯沢英治のさまざまな動物の骨格写真は美しかった。

自然の「骨」は美しい。
そしてその形には必ず理由がある。

こうしてみると人が作る骨なんて、まだまだ熟考の余地があるように思えた。

そこでメイン会場、さまざまな作家たちの考える【実験室】へ。

一番気に入ったのは玉屋庄兵衛+山中俊治による骨からくり「弓曳き小早舟」。

その動きもさることながら、目、鼻、口を一切描かずに一面の木の顔だけで
表情を作っているところがすごい。

あと山中さんのスケッチが激ウマ。
さらにそれを忠実に再現している玉屋庄兵衛の腕もピカイチ。
デザイナーと職人の見事なコラボ。


そのほか前田幸多郎「骨蜘蛛」、慶應義塾大学+山中俊治研究室「Flagella」、
takram design engineering「Phasma」、MONGOOSE STUDIO「Galvanic Frame」
が面白かった。


前田幸多郎「骨蜘蛛」

本来外骨格で内部に骨のないはずの蜘蛛に骨を与える。
それはまるで身体にかかる応力を可視化したようにも見える。



慶應義塾大学+山中俊治研究室「Flagella」

実際は固い材質でできているのに、回転動作により、柔らかさを表現している。
柔らかさは材質だけでなく、動きによっても表現できる。



akram design engineering「Phasma」

動物の形を模倣するのではなく、
運動を模倣することでより「動物らしさ」を表現。
「らしさ」を表現するのは「形」だけではない、ということか。



MONGOOSE STUDIO「Galvanic Frame」

重力分布がLEDで視覚的に確認できるベンチ。
実際の建築構造設計にも活かせそうな気がします。


思った以上に良かったので図録を購入。

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会場の展示もそうなのですが、
全体的にテクニカルで解説的になっているのがちょっとだけ残念。
2,500円くらいと少し高めの設定でも良いから
もっとアーティスティックに骨の美をアピールする作りにしてほしいな。

機能的なものは美しい。
骨は機能と美の両義性を視覚的にアピールすることのできるものだと
感じた展示でした。

※会場内作品の画像はpinterestで拾ってきたものです。