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2009年6月20日

ヴィヴィッド・テクノロジー 建築を触発する構造デザイン

建築デザイン/ 読書

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八王子の「構造力学2」の小西先生から紹介された本。

archiforum(アーキフォーラム)という1997年から大阪で1年ごとに
開催されている講演会シリーズの2006-2007年の講演記録で、
現在最前線で活躍する若手構造家8人と4人の建築家が
自身の活動実績を紹介しながら技術や建築に対する思いを語ったもの。

小西先生自身、この講演者の中の一人です。
授業でも紹介された石上純也氏と組んで作った薄いテーブル、
薄い構造体の「FK house」、RCとコンテナで作られた倉庫、
木造なのに内部に11mの大開口のある「BEAM」、
1階と2階で平面が45度ねじれている「TWIST」などが
紹介されていて、復習するには良い感じでまとめられています。

とは言っても、たぶんすでに建築の仕事に携わっている人を対象にしているのか、
構造を勉強しはじめた学生にはいささか難しい内容で、
現状では小西先生以外の部分は半分程度しか理解できなかった気がします。
小西先生の授業で全部解説してくれないかな...


それでも現在最前線で活躍する先輩たちの熱き想いは伝わってきた気がする。
12人12様の建築の面白さ、構造の面白さに刺激を受けた。



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一方で彼らと同じことをしていては(同じことすら今は到底できないのですが;:)、
彼らを越える新しいことは出来ないのではないか、という疑問も感じた。

若手、といっても全員がほぼ僕と同世代だ。
建築という世界はゆっくり時間が流れる。
けしてのんびり、という意味ではなく、
そのスケール故に何をするのも時間がかかる、という意味で。

同じ世代でこれからゼロからスタートする僕が
はたして実際に建物を建てられる日は来るのだろうか。
そんな漠然とした不安を日々感じているけれど、
やると決めた以上、前に進むしかない。


若い同級生たちは、
安藤忠雄や隈研吾、伊東豊雄などの現在最前線で活躍する巨匠を筆頭に、
さらにはその1つ2つ下の世代の「今を生きる」建築家たちに興味があるようです。
コルビジェやミース、ライトについて語ることはほとんどない。

若者は常に最先端を追う。
流行に敏感で、いかに「新しいか」が価値の基準となる。
自分も若かりし頃はそうだったし、それは別に悪いことじゃないと思う。

でも今の僕が興味があるのはやはり建築の「源流」にいる人たち。
ライト、コルビジェ、ミースのような現代建築を切り開いてきた人たち。
構造設計家でいえば、
エドゥアルド・トロハ、フェリックス・キャンデラ、ピエール・ルイジ・ネルビ、
オーヴ・アラップ、ピーター・ライスなど。

先にも述べたように建築世界はゆっくり時間が流れる。
いかにスピードが要求される現代社会といえど、
すぐに結論を出すべき世界ではないと思うのです。

建築界でも若くして彗星のように現れ、成功している建築家もいますが
はたして彼らは本当に幸運なのでしょうか?
経済的には成功しているのかもしれない。
だが本質的には?

現時点で結果を出せていない自分が何を言っても説得力がないのは分かっている。
ただ、これは自分を見失わないよう、自分を戒めているだけ。


本当に良い建築は時を経てなお、その価値は失われない。
真の建築を知るには時間が必要なのだと思う。
その意味で僕は今を生きる建築家たちを評価出来ないのだと思う。
それは「良くない」ということではなく、「分からない」という意味で。


もちろん建築の「今」を知ることはとても大事なことだと思う。
今を知らなければこれからの未来を担う建築が出来るはずもないのだから。

ただそれだけではダメだ、ということ。
自分に近い距離にいる人たちだけを見てては同じようなものしか生まれてこない。
建築の写真を見るだけでは、本質的なものは見えてこない。
「空間」は写真には写らない。


やはり現場で空間を体験するのが一番だけど、そうばかりもしていられないし、
それだけでも不十分な気がする。

ポートフォリオを作るとき、アドバイスとして、
「良い作品に言葉は要らない、ぱっと見てその良さが分かるから」
という言葉はよく聞くけれど僕は正直懐疑的です。

スピード社会における常識がこの言葉に表れていると思う。
列車のスピードが速すぎると景色は見えなくなってしまう。
たとえ見えたとしてもじっくり判断することはできない。


現代人に必要なのはじっくり考える「時間」ではないでしょうか。
じっくり考えることで本質は見えてくる。
そして本質を記録するものとして、本質をより見えやすくするものとして
「言葉」はその効果を発揮するのではないだろうか。

だからこそ「建築家の文章は難解だ」と文句を言いながらも、苦労しながらも、
先達の言葉を自分は追っているのだと思う。


...というわけで、次は再び「源流」へと戻ります。


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