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2007年6月16日

デザインの煎じ薬 【武正 秀治 】

読書

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「デザインの煎じ薬・全十三包―じわじわとデザインのことがわかる本」


著書の武正さんは多摩美の教授。
前回のセッションの担当講師のひとりでした。
授業中に自身の著書である本書を薦めていたので図書館で借りて読みました。

読みやすいデザイン入門書、という位置づけで全十三章の構成で紹介されています。
同じ日本人によるほぼ同時代での状況、ということもあり、
前回読んだレイモンド・ローウィの「口紅から機関車」に比べれば全然読みやすい。

武正先生が授業で話す内容とかぶる部分もあって、
授業の復習効果も相まってなおさら理解が進んだ気がします。



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印象に残った部分を自分の考えを交えながらレポートします。


【第一包 アフォーダンス|自然な行為を誘発するデザイン】

簡単に言えば、分厚いマニュアルを読まなきゃ使えないようなものはだめ、ということ。
デザインは「正しく伝える」ためのものであることを再認識させられました。
ただ、最近のモノはハードとソフトが複雑に絡み合い、行為を誘発するような
デザインが一筋縄ではいかなくなってきているのも事実。
こーいうときこそシンプルさを忘れないでいたいものです。


【第四包 イメージはデザインの原動力】

イメージする能力とそれを表現する能力。
これらを総称して「イメージ力」。

デザインをする上で必要なものとして、武正先生が名付けたもの。
デザインされるものが使われる様を予測する。
デザインは未来を予測するものなのです。

その原動力は頭の中に浮かんでくるイメージ。
でもそれだけでは何の役にも立たなくて、
そのイメージを第三者にも正確に共有できるような形にすること。
それが「いいデザイン」なのです。
けして「カッコいいもの」がいいデザインではないのです。


【第七包 「定番のデザイン」を考える】

「変わらないモノ」をデザインするためにあえて前とは違うものをデザインする。

世の中は常に流れて変化している。
そしてデザインはデザインされるものだけで成り立つのではなく、
周囲の環境との調和によって成り立つもの。
デザインされるものが同じでも周囲の環境が変化していれば、
デザインの総体としては違うものになってしまう。

この点が深澤直人さんの「デザインの輪郭」と繋がる部分があって、
いいなあと思いました。


【第九包 目にみえない部分のデザイン】

冒頭のサン・テグジュペリの「星の王子さま」からの引用で
「大切なものは目にみえない、心でみなくちゃ」というくだりに思わず共感。
デザインでもこの考え方は大切なんですね。


【第十包 手続きをデザインする|意志決定のプロセスを考える】

僕は前の会社ではソフトウェアの品質改善・向上を検討する部署にいて、
その業務の一環として設計プロセス改善を担当していました。
前職での経験が生かせそうな自信がついたかな。
物事は結果だけでなく、過程が大事ってこと。


【第十一包 人間心理のツボをつくデザイン】
【第十二包 「気配」デザイン】

デザインをする、ということは単にデザインされるものを作り上げることじゃない。
デザインされたものの向こうには必ず「人」がいて、
デザイナーはその「人」のためにデザインするのです。

当然のことながらその「人」の考えること、「人」のかもし出す気配について
知らなければいいデザインはできませんよね。


【第十三包 ファスト・デザインとスロー・デザイン】

自分はどんなデザインをしたいのか、どんなデザインをするべきなのか。
そのヒントをくれた章でした。

人にはそれぞれペースがある。
デザインは人に関わるものだからデザインにもペースがある。

ファスト・ペースの人がスロー・デザインをできるだろうか。
やりたいと思うだろうか。その逆も然り。

デザインはただ相手の趣向、要望をそのまま表現するだけじゃなく、
デザインをする人の趣向・要望を取り入れた上でお互いのマッチングを目指す
まさに「コミュニケーション」なのです。

いいデザインをするためにはそのデザインを使う人のことと同じくらい
自分のことを知らなければならないのです。
デザインするものによってデザインを使う人は変わってくる。
でも「自分」は変わらない。

変わるものと変わらないもの。
その両者を知ってはじめていいデザインができる。
それが武正先生のいう「不易流行」のススメなのではないでしょうか。


いやあ勉強になります。
ほんとうに大学はいい環境だ〜


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