マニエリスム

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[ブロンツィーノ『愛の寓意』]※画像は大塚国際美術館の陶板画。


久々の美術ネタ。


履修登録が終わり、共通教育科目が授業スタート。


結局、中村先生の「文学と芸術」「西洋美術史Ⅱ」を履修。
これで上野毛キャンパスでの中村先生の授業5コマをすべて履修。
先週のガイダンスを聞く限り、同じ内容がなきにしもあらず、だけど、
新しいネタもまだまだありそうな気がしたし、なによりも...

...けっこう忘れてる。

こうなったら徹底的にルネサンス以降のクラシックをたたき込むのも悪くない、
ということで履修することにしました。

西洋かぶれ、というわけでもないのだけど、
ことアートに関しては圧倒的に西洋のほうが好きかも。
現代アートよりはクラシックなものが好きだけど、
古ければ古いほどいい、というものでもなくて、
芸術が王侯貴族だけのものだった頃のはあんまり好きじゃなく、
ルネサンス以降が好き。
中村先生が担当するパートがこの頃だというのも、
先生の授業が好きな理由の一つでもある。


中村先生の授業を整理すると。


  【1年生: 社会と芸術】
  ゴヤ、ピカソ、ダリ、ロルカなど主にスペイン芸術を中心に
  その時代の社会背景と芸術との関係を学ぶ。

  【2年生: 特講Ⅲ】
  構図や色彩、文字との関連など、絵画技法がテーマ。

  【3年生: 特講Ⅰ】
  エミール・ゾラ、オスカー・ワイルド、ボードレール、ロートレアモン、フローベールなど、
  フランス文学を中心に学ぶ。

  【4年生: 西洋美術史Ⅱ】
  ルネサンス以降の絵画の歴史を学ぶ

  【4年生: 文学と芸術】
  象徴主義を中心とした授業。


授業のテーマなどについては、あくまで僕が感じたイメージであって、
正確なものではありません。年によって内容も微妙に異なるだろうし。
詳細についてはシラバスを参照してください。
...といいながら僕はシラバスを参照にしたことはほとんどないけど。


パルミジャニーノ「長い頚の聖母」※画像は大塚国際美術館の陶板画

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ずり落ちそうなイエスが彼の受難を暗示している...


西洋美術史Ⅱの最初の回は「マニエリスム」。


ルネサンスの秩序から、バロックの無秩序の間の様式だけど、
あまりメジャーではないため、見過ごされがちな時代。
中村先生はお好きなので、しっかり解説してくれました。

宗教革命など時代的な不安から、
ルネサンスにはあった安定さが次第に失われてゆく。
不安定でアンバランスな構図、浅い空間感覚、ねじれたポーズなどが特徴的。

しかしまだ圧倒的に宗教画が多いようです。

ちなみにマニエリスムは「マンネリ」の語源みたいです。
(マニエリスムは英語表記では"mannerism"となる)
行き過ぎたルネサンスの追求が批判されたゆえの蔑称なのだとか。


以下お気に入りの作品をネットで探してきました。


【ロレンツォ・ロット「受胎告知」】(出典:Wikipedia)
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【ドメニコ・ベッカフーミ「受胎告知」】(出典:Wikipedia)
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ダ・ヴィンチの「受胎告知」に比べると、
空間感覚が浅く、不安定でねじれたポーズであるのが分かります。

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【レオナルド・ダ・ヴィンチ「受胎告知」】(出典:Wikipedia)


【ポントルモ「十字架降下」】(出典:Wikipedia)

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十字架のない「十字架降下」。
不安定ですね~


【ロッソ・フィオレンティーノ「エテロの娘を救うモーセ」】(出典:Wikipedia)
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捩れてますね~


一番のお気に入りはやはりパルミジャニーノかな。


「凸面鏡に映る自画像」(出典:Wikipedia)

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この時代、すでに平面鏡があったのですが、
あえて凸面鏡にしているあたりがマニエリスム。


「聖女カタリナの神秘の結婚」(出典:Wikipedia)
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パルミジャニーノのなかでは一番好きかな。


「聖ヒエロニムスの幻影」(出典:Wikipedia)
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ダ・ヴィンチの「洗礼者ヨハネ」を参考にしているとか。

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【レオナルド・ダ・ヴィンチ「洗礼者ヨハネ」】(出典:Wikipedia)


「女性の肖像(通称トルコの女奴隷)」(出典:Wikipedia)
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奴隷にしては美しい...


「若い婦人の肖像(アンテア)」(出典:Wikipedia)
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これも美しい絵だけど、よく見ると、両手の配置がアンバランス。


さて、来週はバロックかな。
これまた好きな様式なんだな。
楽しみ楽しみ。


人生は波である。
そして人類の歴史もまた波である。
人はミクロ的にもマクロ的にも、いろんなスケールの波間を生きている。

ロマネスクとゴシック、ルネサンスとバロック、モダニズムとポストモダン...

秩序と無秩序をくり返しながら生きている。


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