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2019年1月28日

印象派への旅 海運王の夢 バレル・コレクション【愛媛県美術館】

アート/ 展示・イベント

burrellc_board.jpg


今年最初の美術鑑賞。

愛媛県美術館で開催中のバレル・コレクション展へ行ってきました。


英国スコットランドの海運王ウィリアム・バレルが蒐集した美術コレクション、
「バレル・コレクション」。
バレルはその膨大なコレクションを地元グラスゴー市に寄贈、
閑静な土地にコレクションを展示する美術館が建設され、1983年に開館しました。


コレクションは基本的に門外不出でしたが、
美術館のリニューアル工事に伴い初来日することになり、
本展はそのコレクションの中から73点と同市のケルヴィングローヴ美術館から7点、
計80点を展示するもので、福岡→愛媛→東京→静岡→広島の順で巡回します。

巡回展はなにかと都会の美術館が優先され、
遅れて田舎の美術館へ巡回してくるのが常だから、
めずらしく東京よりも先に愛媛で開催されるのも嬉しい。



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「印象派への旅」というタイトルから印象派中心の展示かなと思ったら、
どちらかといえばその前後がメインでした。
言うならば「印象派までの」もしくは「印象派からの」作品が多かったかな。


本展では以下の3作品が撮影可能でした。

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[エドガー・ドガ「リハーサル」(1874年頃)]

ドガのリハーサルシリーズはフィリップス・コレクション展でも見たなあ。
あえて中央に誰も人を配しない構図。
画家はあたかもこの絵には主役などいやしない、と言いたかったのか。
はたまたすべての登場人物が主役であると言いたかったのか。


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[ギュスターヴ・クールベ「マドモワゼル・オーブ・ドゥ・ラ・オルド」(1865年)]

写実主義の画家は鋭い眼差しの女性の眼差しからなにを写し取ろうとしたのだろうか。
写実派といえど、描きたかったのは外面だけではいはず。
見たままの形を描きながらも、同時に「心」も描きたかったのではないだろうか。
そこに印象派への兆しが見える気がする。


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[ウジェーヌ・ブーダン「トゥルーヴィルの海岸の皇后ウジェニー」(1863年)]

一際白いドレスを着た女性がナポレオン3世の妻ウジェニーらしい。
この構図を見る限り、ブーダンはウジェニーを際立たせたかったわけじゃないだろう。
この広い世界から見れば、皇后といえど一介の人間に過ぎない、
ということをブーダンは伝えたかったのだろうか...


いつもは図録のみでポストカードは買わないんだけど、
寒中見舞い用に以下の2枚を購入。

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[ウジェーヌ・ブーダン「ドーヴィル、波止場」(1891年)]

海洋王だけに海の作品が多い。
抜けるような青空に印象派の兆しが見える。
ブーダンは印象派の先駆け的な存在ではあったが、決してその中心的な存在ではなかった。
モネはこの先駆けの画家からなにを学び取ったのであろうか。


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[エドゥアール・マネ「シャンパングラスのバラ」(1882年)]

これまでマネの静物画はあんまり見たことがなかったので気になった一枚。
印象派の中では割合写実的でタッチも控えめでありながらも、
やはり見たままの形だけではない何かを伝えようとしているように見えるところは
どこかクールベに通ずるものがある気がする。


その他お気に入りの作品をpinterestから。



[カミーユ・コロー「耳飾りの女」(1850−55年頃)]

風景にしろ、人物にしろ比較的穏やかな画風のコローにしては、
めずらしく扇情的だな、と目を引いた。
ここにも見たままの形から「心」がにじみ出ようとしている。



[テオデュール・リボー「勉強熱心な使用人」(1871年頃)]

真っ黒な背景が一際人物の存在を際立たせる。
「心」までをも表現したいと願う画家の意思がそこには見える。


全体がぼやけた感じが独特なシダネルの絵。


[アンリ・ル・シダネル「雪」(1901年)]


[アンリ・ル・シダネル「月明かりの入江」(1928年)]

ぼやけているからどこか穏やかで心安らぐ。
ぼやけていながらもリアリティがあり、
ぼやけているだけなのに独特な雰囲気がある。


一方、荒々しい線で構成されたクロホールの絵。


[ジョゼフ・クロホール「フォックスハウンドー呼び鈴のある門」(1886年)]


[ジョゼフ・クロホール「杭につながれた馬、タンジールにて」(1888年)]


[ジョゼフ・クロホール「山腹の山羊、タンジールにて」]


[ジョゼフ・クロホール「二輪馬車」(1894−1900年頃)]

荒々しく、刺々しいんだけど、
不思議なことにシダネルとはまた違った別の穏やかさを感じる。
バレルはこの画家の最大の支援者となり、
約150点の作品がバレル・コレクションやケルヴィングローヴ美術館に収蔵された。


静物画三点。


[アンリ・ファンタン=ラ・トゥール「桃」(1875年)]


[ギュスターヴ・クールベ「りんご、洋ナシ、オレンジ」(1871−72年頃)]


[ポール・セザンヌ「倒れた果物かご」(1877年)]

広々とした黒の背景に強い光で静物を強調したラトゥール、
画面いっぱいに描くことで静物を強調したクールベ、
倒れかけのバスケットという不安定な構図で静物を強調したセザンヌ。
三者三様の静物の表現が面白かった。


ゴッホによる肖像画が一点(バレル・コレクションではないですが)。


[フィンセント・ファン・ゴッホ「アレクサンダー・リードの肖像」(1887年)]

リードはバレルが絵画を蒐集するにあたり最も信頼を寄せていたグラスゴーの画商。
ゴッホの弟テオの下で働き、印象派を中心とした世に出る前の画家たちの存在を知った。


図録。2,000円也。

burrellc_guide.jpg


愛媛県美術館での展示は2019年3月24日まで。
その後は東京(Bunkamura ザ・ミュージアム)→静岡市美術館→広島県立美術館の順で
巡回予定です。




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