僕が建てたい10の建物

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東京国際フォーラム


石材を、木材を、セメントを工事にうつし家屋や宮殿をつくる。これは建設である。知性の働きだ。しかし突然、私の心をとらえ、私によいことをしてくれ、私は幸福となり、これは美しいといったとしたら、これは建築である。芸術はここにある。(ル・コルビジェ『建築をめざして』)


自分が究極だと信じる建築を最低1つは創る。
これが僕の人生の目標である。

生きているうちに心から建てたい、と思う建築が1つでも建てられればいいのだけど、
仮に自由にいくつでも建てられるとしたら...という妄想は常にしている。

これは決して無駄な行為ではなく、
究極の建築を1つでも実現させるためにはとても重要なことだと思っている。

まずはイメージだ。
それを少しずつ段階を踏んで形にしていく。


...というわけで僕がつくりたいと思っている10ジャンルをピックアップしてみる。


1.住宅
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前川國男自邸

建築の基礎であり、僕が建築へ向かう元となったもの。
具体的には自分が生まれ育った実家を建て直したい。
僕に故郷を与えてくれた実家に恩返しをしたい。

好きな住宅はコルビジェが妻のために建てた「カップマルタンの家」や
「住宅は住むための機械」のモデルとなったサヴォア邸、
ライトの落水荘、手塚夫妻の「やねの家」、前川國男自邸など。


2.教会
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東京カテドラル聖マリア大聖堂

特定の宗教信者じゃないけれど、無神論者でもない。
神はいると思う。
そう信じることが人は幸せになれると思う。
...そう思っているからかもしれないけれど教会や寺社が好きです。
とくに教会のあの独特の神聖な雰囲気が好き。

好きな教会は丹下健三の東京カテドラル、安藤忠雄の光の教会、
コルビジェのロンシャンの教会、アントニン・レーモンドの札幌聖ミカエル教会など。


3.美術館
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ニューヨーク・グッゲンハイム美術館

美が集まる場所はその場所自体も美しくあるべき。
そういう場所は建築家としてはやはり作ってみたいですよね。

好きな美術館はNY、ビルバオ、アブダビなどのグッゲンハイム美術館、
カラトラバのミルウォーキー美術館、
リベスキンドのユダヤ博物館、デンバー美術館、
日本ならば磯崎新の水戸芸術館HARA MUSEUM ARC、SANAAの21世紀美術館かな。


4.公園・庭園
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東福寺「八相の庭」

自然は美しい。
自然を凝縮し、自然の「模型」とでもいうべき場所が
公園や庭園といった場所ではないでしょうか。

好きな公園はイサム・ノグチが手がけた一連の庭園や公園、
環境建築家ダニ・カラヴァンが手がけた一連の環境建築など。
日本庭園では毛越寺や重森三玲が手がけた東福寺「八相の庭」桂離宮など。


5.ホール
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群馬音楽センター

いわゆるオーディトリアムや劇場、オペラハウスなど、
多くの人が集まり、多くの人に感動を与える場所でしょうか。
そういう場所を考えることはやはり幸せなことだと思う。

すきなホールはシドニーのオペラハウス、カラトラバのオペラハウス、
村野藤吾の日生劇場、ラファエル・ヴィニオリ の有楽町国際フォーラム
アントニン・レーモンドの群馬音楽センターなど。


6.駅
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金沢駅

交通網は人間社会の基盤ともいえるもの。
交通があるから人は旅ができる。
そういう施設を考えるのはやはり楽しい。

好きな駅はカラトラバのリヨン空港駅、スイスの鉄道駅、ポルトガルの鉄道駅など。
空港でいえばサーリネンのTWA空港ビルやダレス空港、
カラトラバのビルバオの空港あたりでしょうか。
国内では金沢駅
ただ、日本の駅デザインは海外に比べるとちょっと遅れている気がする。


7.茶室
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金沢武家屋敷・野村家

岡倉天心の「茶の本」を読んで茶室に興味を持ちました。
茶室は究極の小宇宙空間であり、自己を現す空間でもある。

好きな茶室は、まだそんなに知らないけど、
当代の樂吉左衛門が設計した黒コンクリの茶室なんか面白そう。


8.橋
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錦帯橋

もっとも「構造」が美として現れる建造物だと思う。
僕が構造に興味を持つ元になったもの。
だからやっぱり作ってみたい。

好きな橋はカラトラバの一連の橋、ブルックリン橋、しまなみ海道の一連の橋など。
国内は技術は一流なんだろうけど、
デザインは海外に比べるとちょっと見劣りする気がする...


9.タワー
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水戸芸術館のタワー

天への憧れは人間の神への憧れでしょうか。
人間が高層建築を建てるのはひとえにそんな心の現れでもあると思う。
でも「ビルディング」はその失敗例のような気がしてあまり好きじゃない。
(中には成功しているものもあるけれど)
バランス的にはやはり「タワー」が高層建築の自然な形のように思えるのです。
そして象徴的でもある。
建築家ならやはりそういうものを作ってみたいはず。

好きなタワーは東京タワー、エッフェル塔、磯崎新の水戸芸術館のタワーなど。


10.純粋オブジェ
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アウトサイドライン

富山の魚津にあるリベスキンドの巨大なオブジェを見て、
建築が本来持つ「空間」を持たない巨大オブジェも作れたら面白いな、って思った。

巨大であるがゆえに内部に空間を持たなくても周囲に空間を形成する。
そしてそれがよりシンボリックであり、モニュメント性を高める。