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2011年1月 アーカイブ

2011年1月30日

作家宣言

学業

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言葉では言い表せない驚異と神秘の構図に、医師は息を呑んだ。理解できず、分析もできない感情が体中に満ちてきた。畏れと喜びー天地創造の場に立ち会った者の畏れと喜びか。官能的で、情熱的で、途方もない・・・だが、同時に、身の毛のよだつ何か、人を恐怖のどん底に叩き込む何かがある。これを描いたのは誰だ。自然がひた隠しに隠していた深みにまで潜り込み、そこに守られていた美しくも残忍な秘密を掘り出してきた男が描いた。人に知られること自体が不浄である秘密ーそれを知った男が描いた。ここには原始の気配、畏れ入るべき何かがある。(モーム『月と六ペンス』P380)


何か新しいものに出会うとき、
希望と喜びを持って無条件に全面的に受け入れることができれば、
これほど人間として幸運なことはない。
人生とは、新しいものとの出会いの連続なのだから。


しかし、それは時として「ヒト」として生きていくには致命的な欠陥となる。
外に出れば七人の敵がいる。
エゴの外にあっては、同じ種同士でさえ、敵になることがある。
「警戒心」は自分の身を守るための本能である。
人間は文明人である前に、「ヒト」であることを忘れてはならない。

信心が善であり、疑心が悪である、とは限らない。
疑心が科学を育み、信心が宗教を育んだ。
いわばこれら二つは人類の父と母である。


人間がするべき唯一の「闘い」とは、
本能からくる疑心と、理性による信心との闘いだけだと思う。
どちらをないがしろにしても、真に人間らしく生きることはできない。


創造とは、自分の内にあるものと、外にあるものとの闘いである。
疑心なくして安易に逃げ込む信心は弱い。
果てしのない疑心の果てに芽生える信心こそ、真の信心である。

そのような真の信心が強い人間を育てる。


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2011年1月22日

月と六ペンス【モーム】

読書 / 文学

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ウィリアム・サマーセット・モームの「月と六ペンス」。

例によって中村先生の紹介。
ゴーギャンをモデルにした小説、ということで読んでみました。

ロンドンの株式仲買人であったストリックランドは、
四十歳にしてある日突然、仕事と家族を捨ててパリに逃げた。
画家になるために。

正式な美術教育を受けたわけでもない男が、
いきなり自分の絵だけで生活していけるはずもなく、
極貧生活を余儀なくされるが、そんな苦境をものともせず、
ひたすら絵筆を動かし続ける。
何かを求め、見つけ出そうとするかのごとく。

他人からの干渉を拒み、ひたすら孤高の道を進んだ男は、
最後に行き着いたタヒチで地上の楽園を見つけ出す...


ストリックランドの人生は、
まさにゴーギャンの人生そのもののように思えるけど、
実際のゴーギャンはここまで完全無欠ではなかったように思える。
これはゴーギャンが願った理想の人生ではないだろうか。


男はなぜ平和な家庭と仕事、すべてを捨てて、貧困と孤独の道を選んだのか?


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2011年1月16日

執念の果てにたどり着いた究極の碧【マティス・ブルー】

アート

[ブルーヌード(1952)]


共通教育科目のテストが終わりました。

今年は中村先生の二科目のみ。
例によって記憶力を問うものではなく、ノート持ち込みOK、
授業を通して印象に残ったテーマについてその理由を述べる、
という記述形式のテスト。

自分にとって言葉はグラフィック・デザインと同じく
表現のプロセスの途中過程で用いるツールのようなもので、
表現の最終手段ではないようだ。
どれだけ言葉を重ねても満足することはない。


西洋美術史Ⅱのテストは、
後期の授業(バルビゾン派〜フォーヴィスム)の中から
印象に残ったテーマ、作品を4つ挙げてその理由を述べよ、
というものだった。

最初の3つは自分の好きな分野でもある印象派、新印象派、後期印象派を
挙げてまあ普段から思っていることをつらつらと書いたのだけど、
最後の一つはフォーヴィスムのマティスを挙げてはみたものの、
実はいまいちよく分からず、適当にお茶を濁したような回答になってしまった。


その夜。

「美の巨人」でマチスの「ブルーヌード」が特集されていた。

平面的で見ようによっては抽象画に見えてしまうマティスの作品について
これまではあまり関心がなかった。
唯一記憶に刻まれていたのは、やはり以前「美の巨人」で
紹介されていた目の覚めるようなブルーのマティスの教会だった。


今回のブルーヌード特集で、マティスの絵が少し分かった気がした。


...これもセレンディピティですな。


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2011年1月 2日

天才建築家ブルネレスキ【ロス・キング】

建築デザイン / 読書

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  〜フィレンツェ・花のドームはいかにして建設されたか〜


初期ルネサンスの代表的な建築といえば、
フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。

といっても建物全部がルネサンス様式なのではなく、
ファサードや内部空間はむしろゴシック様式となっている。

この建築のルネサンスたらしめているのはドォーモ。
一千年以上もの長き間にわたって世界最大の石造ドームであり続けた
古代ローマのパンテオンを凌ぎ、その後もこのドームを越える
石造ドームは現れていないという。


このドォーモを設計し、実現した男が本書の主人公、
フィリッポ・ブルネレスキである。

彼は芸術家ではなく、職人であった。

ルネサンスは芸術ではなく、技術からはじまったのである。


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2011年1月 1日

ことよろ

その他

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[アルブレヒト・デューラー「野兎」(1502年)]


年が明けました。

昨年暮れに祖父が他界したため、新年の祝辞は控えさせていただきます。

毎年恒例の年賀イラストも控え、
今年の干支であるウサギの名画と代えさせていただきます。
およそ500年以上も前の絵とは思えない緻密さ。
良いものは時を越えて残るものなんですね。


それにしてもひどい年末年始となった。

30日。兆候が現れ始める。
ノドが痛くなってきて、そのうち頭痛が。
鼻が詰まってまともに鼻呼吸ができなくなって、
一晩寝て起きてみると口の中がカラカラに乾ききる。
そして襲ってくる酷い寒気。

大晦日はほとんど寝たきり。
翌元旦も初日の出を拝むこともできず。

昼過ぎて、ようやく症状も和らいできて、快方へと向かって...いるはず。


どうやら今年は本厄の前厄らしい。

波乱に富んだ一年になりそうな予感。


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