ル・コルビジェ展 【レビュー】
建築 / 展示

ル・コルビジェ展行ってきました。
ちょうど大学でもちょこちょこ出てくるキーワードだったのでタイムリー。
チケットは通常学生料金1,000円のところ、
モネ展の半券で100円引きの900円でした~
ちなみにフランク・ゲーリーの映画の半券でも100円引きです。
グレゴリー・コルベール展以来の久々の森美術館。
国立美術館クラスに比べるとそんなに規模は大きくないはずなのに、
10時過ぎに入館し、全部観終わってでてきたら14時過ぎ。
もちろんその間ランチ抜き。
実に4時間も観てたわけで。
それくらい面白かった~!
会場は10のセクションで構成。
section 01 アートを生きる
section 02 住むための機械
section 03 共同体の夢
section 04 アートの実験
section 05 集まって住む
section 06 輝ける都市
section 07 開いた手
section 08 空間の奇蹟
section 09 多様な世界へ
section 10 海への回帰
section 01は画家としてのル・コルビジェの絵の展示。
建築家として有名なル・コルビジェですが、生涯を通じて
1日のうちの午前中は絵画に費やしたほどの画家でもありました。
ピカソに代表されるキュビズムを批判し、ピュリスムという絵画様式を唱える。
ピカソの絵の一つ一つの細かい要素を幾何学模様化し、
規則正しく整列させたような絵。
好みの問題もあるのでしょうが正直僕は好きになれない。
この絵がどのようにしてあの建築群に繋がるのか想像もできません。
section 02はかの名言「住宅は住むための機械である」がタイトル。
建築家としてのスタート期の作品などが展示。
ル・コルビジェというのは実はレスプリ・ヌーヴォーといった雑誌などで
建築論を語るときに使ったペンネームだったんですね。
本名はシャルル・エドゥアール・ジャンヌレというそうです。
ペンネームを持つ建築家も珍しい。
彼の建築家としてのスタート期であるだけに
その建築の原点のエッセンスとでいうべきものが詰まってます。
まずは新しい建築のための5つの要点。
「ピロティ(柱)」
「屋上庭園」
「自由な平面(フリー・プラン)」
「水平に連続する窓」
「自由な立面(フリー・ファサード」
これらの要素が見事に取り入れられているのがパリ郊外のサヴォワ邸。
サヴォワ邸は外見上は地味な建物なのですが、中はすごくユニークな造り。
CGを駆使した内部解説も見事。
実物がすごく見たくなりました。
ル・コルビジェは建物のみならず、椅子や机などの家具のほか、
なんと車までも設計していました。
最小限の車体で最大限の利用価値を得られるという最小限自動車で
「マキシマム」と名づけられたこの車はあまりにも斬新過ぎて実現せず、
会場には設計図を元に作られた1/2模型が展示されていました。
今見てもけっこう斬新なデザインした。
家具のほうは現在でもLCシリーズと呼ばれるソファがカッシーナ社で
ライセンス製造されていて、会場にもサンプルが置いてあったので
座ってみたのですが長椅子はすごく座り心地がいい。
しかし値段は数十万単位とめちゃくちゃ高い。
section 03では公共建築物の紹介。
建築対象が小さな住宅からより大規模な公共建築物へ。
ただ当時はあまりにもそのデザインが斬新的過ぎて実現しなかった。
とくにソヴィエト・パレスは圧巻。
模型展示とCG画像が上映されていたのですが、
現在の建築と比較してもなんら遜色ない見事なものでした。
政治的な理由で建設が却下されたのは残念。
ここまでCGで再現できるのならどこかに立てればいいのになあ...
section 04は再びアートの紹介。
初期のピュリスムから脱却し、シュルレアリスムに接近。
...といってもシュルレアリスムがどんなものかはよく分からないけど。
以前の幾何学的な要素がなくなり、曲線が多くなりますが、
やはり個人的には好きになれない。ピカソに比べると面白みがなくお見える。
ここではパリのアトリエが実物大で再現されていました。
section 05はユニテ・ダビタシオンに代表される集合住宅の紹介。
いわゆるマンション設計なのですが、モデュロールという単位系が面白かった。
メートル法は万物の大きさを測る共通の尺度で便利ではあるけれど、
人間の快適性までは測れない。コルビジェは人体の各部の寸法を基本単位にした
単位系、「モデュロール」を提案し、このマンション設計に取り入れています。
黄金比までも取り入れたこの設計法は人間工学を研究しつくした上での
究極のデザインといえるかもしれませんね。
ピロティや屋上庭園などここでも「新しい建築のための5つの要点」が
取り入れられています。
ユニテ・ダビタシオンの1戸分の原寸大再現セットが展示してあり、
その快適性が体験できます。やはり現在のマンションと比較してもなんら
遜色ない、見事なものです。
section 06はかの有名な著書「輝ける都市」がそのままタイトルとなってます。
建築対象の巨大化はとどまるところを知らず、ついには都市そのものまでも
デザインしちゃいます。その多くはやはり斬新的過ぎて実現しなかったものが
多いですが、アルジェの都市計画での住宅(マンション)の上を高速道路が走る、
という構想は今聞いてもとても斬新で、土地の有効活用に繋がる気がする。
section 07は唯一実現した都市計画、インドのチャンディガールの都市建設
の様子が模型と映像で紹介されていました。
高層ビル群までは実現しなかったものの、一つの都市を創ってしまう、という
そのスケールの大きさに脱帽です。
section 08はル・コルビジェが建設した3つの宗教建築の紹介。
まずは最も有名な作品の一つである「ロンシャンの礼拝堂」。
建物があたかも歪んでいるか、傾いているような感のする
不思議な曲線を多用した建物。見ていて飽きません。
2つ目は「ラ・トゥーレット修道院」。
こちらはうって変わって厳格な幾何学的構成。
ロンシャンの礼拝堂を見た後ではちょっと地味で味気ないですね。
最後がフィルミニのサン・ピエール教会。
この教会はコルビジェの没後、その助手の仕切りにより
2006年にようやく完成したもの。
とんがり帽子のような屋根が特徴的。
section 09は海外のコルビジェの作品群。
日本での唯一のコルビジェの建築物である国立西洋美術館、
ハーバード大のカーペンター視覚芸術センター、
チューリッヒのル・コルビジェセンター、
フィルミニの文化の家などが紹介されています。
上野の国立西洋美術館ってル・コルビジェの設計だったんですね...
section 10は晩年のコルビジェ。
住宅から果ては都市まで。
極限まで巨大化していったコルビジェの建築も
晩年、最後に到達したのは「カップ・マルタンの小屋」と呼ばれる
妻のために建てた小さな小屋。
実物大のセットが置いてあったのですがそこはまさに
都内の一人暮らしの若者が住むような部屋。
この小さな部屋にも"モデュロール"が取り入れられています。
そこに彼はなにを見出したのでしょうか。
よくは分からないけどなんとなく幸せな気分になれた。
それがきっと彼が生涯をかけて追求してきたものなのだろう...
...そんな気がしました。
最後に図録購入。

3,990円とちょっと高めだったけどとてもいい展覧会だったので。
とても満足したので。
コルビジェがますます好きになったので。
ああ、でも。
ますます本物を見たくなったなあ。
フランス行きて~。
* コルビジェの設計したチェア(現在でも買えます。興味ある方は写真をクリック!)
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